「1つ目は国内の自動車産業を守り抜く気概。2つ目は世界の自動車産業をリードする気概」――。5月17日、日本自動車工業会会長に就任したトヨタ自動車の豊田章男社長は、会長就任にあたって2つの気概を持って自工会の活動に取り組む決意を表明した。
業績回復で一段と前向き発言
豊田自工会会長によると、「日本の自動車産業の強みは、日本国内に集積した素材や部品、物流などのサプライチェーンの総合力。中でも技術開発と生産や販売の現場が密接に連携することによって生み出されるイノベーションに特徴がある。これらの日本の強みは、一定の規模の国内生産があってこそ、初めて発揮される」。また「世界の自動車産業が量的にも質的にも、まだまだ成長している今日、日本の自動車産業にも、その発展をリードしていくのだという気概が求められている。日本の自動車産業も、競争と協調の考え方を大切にしながら、世界の自動車産業が健全に発展し、地球環境問題やエネルギー問題、安全・安心なモビリテイー社会の構築といった世界共通なテーマについて、取り組んでまいりたい」という。
トヨタ自動車を初め、日本の自動車各社は2011年は東日本大震災、タイの大洪水などで大きな打撃を受けたが、米国の景気回復や新興国を中心とする市場の拡大に支えられて回復途上にある。豊田会長の前向きの発言は、トヨタの業績の回復にも裏付けられたもの。ただ総会後のパーテイーでは各界の要人に囲まれながら「関連メーカーとの関係を含め自動車産業も大きく変わる」と強調していた。