原発動かさなくても、電気料金は上がる?
また、東京電力福島第一原発の事故後の2011年6月に「日本エネルギー経済研究所」(IEEJ)がまとめた「原子力発電の再稼働の有無に関する2012年度までの電力需給分析」には、すべての原発が停止して火力発電で代替した場合、燃料コストの増加によって標準的な家庭の電力料金で、12年度は10年度実績に比べて1か月あたり1049円(18.2%)増加すると試算していた。
ただ、当時はこの研究所が経産省OBの天下り先で、電力会社の役員も関与していたため、「原発を止めたら家計負担が増大するから、再稼働を急げと、国民を恫喝している」と、しんぶん赤旗などに叩かれた。
東電は枝野経産相から総合特別計画の認可を経て、2012年5月11日に家庭向け電気料金の値上げを申請した。上げ幅は平均10.28%と、10%を超えた。7月の実施を目指している。
東電はこの数字について、「12~14年度の3年間の、人員削減などの合理化による削減額を含んだ水準」と説明。また、柏崎刈羽原発の13年4月からの稼働も前提に算出しているという。
このため、柏崎刈羽原発が再稼働しないと、利益を生まないばかりか、維持するだけでムダな費用がかかってしまって、さらなる値上げの「要因」になる可能性もある。
さらに、火力発電にかかる燃料費も11年度第3四半期時点ですでに前年同期に比べて約4800億円増加。それに福島第一原発の廃炉費用や事故の損害賠償のための費用がのしかかってくるのだ。