大学生が設立した投資団体が、株式の「完全な自動売買」をうたって資金を集めたまま、国外逃亡して連絡が取れなくなっていることが明らかになった。数千万円を投資した人もいるという。どんな学生だったのか。
「自家用ジェットを持ち、総資産100億円がうたい文句」
この問題は、2012年5月16日夜にNHK「ニュースウォッチ9」がトップ項目で報じた。発端は、12年3月13日に「2ちゃんねる」に「有名大学生総額20億巨額詐欺 探しています」と題して立てられたスレッドだ。スレッドの書き込みでは、
「高利回りを謳って投資を集めていた感じです。マイバッハに乗って自家用ジェットを持ち、総資産100億円がうたい文句。六本木でも有名な、某有名大学生が飛びました。 現在代理人の弁護士が間に立って元金は返すと言っていますが まったく返る気配はありません」
と訴えており、
「私は2000万取られました」
「私の家族も苦しんでいます」
といった声が続いた。すでに被害者の会が結成され、投資金の返還を求める訴訟も起きているという。金融商品を扱うためには財務局への登録が必要だが、この団体は登録をしていないといい、金融商品取引法に違反する可能性が高い。
実はこのスレッドでは、
「最後の目撃情報はシンガポールです」
と書かれており、NHKのニュースでも、この大学生は2月に日本を出国したままで、シンガポールやマレーシアを転々としていることが明らかになっている。
NHKでは、「東京に本部がある有名私立大学の学生」という表現にとどめているが、諸情報から慶應義塾大学総合政策学部の学生だと見られている。同学部がある湘南藤沢キャンパスは神奈川県藤沢市にあることから、「東京に本部がある」という回りくどい表現になったとみられる。