マスクをして運動会? 全国紙の「東京目線」を実感【福島・いわき発】

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   土曜日(5月12日)に夫婦で東京へ出かけた。夕方、用事がすんで帰路に就いた。地下鉄東西線だったと思う。ドアの上にある、次の駅とニュースの情報板のようなものを見ていたら、福島県の小学校の運動会の写真が表示された。翌朝、全国紙の社会面に同じ写真が載っていた(=写真)。


   福島市内の小学校で土曜日に運動会が行われた。プログラムの一つ、玉入れの写真だった。子どもたちは全員マスクをしている。地下鉄でその写真を見たとき、福島県の人間である私はびっくりした。マスクをして運動会をやったのか! 東京の人はもっと驚いたことだろう。


   私の住む浜通り南部のいわき市平・神谷地区。平六小でも土曜日、2年ぶりに運動会が行われた。敬老会その他ゲストのプログラムをカットして午前中だけにした、ということだった。朝8時半。私らが東京へ出かける時間と、子どもの親たちが学校へ向かう時間とが一緒になった。マスクをして運動会をするような厳しい雰囲気ではない。


   帰宅して当日の夕刊と、翌日曜日の新聞をチェックした。県紙は1面に運動会の写真を載せている。だれもマスクをしていない。本文に「土ぼこりが舞う玉入れ競争では内部被ばくを防ぐため、マスクを着用して競技が行われた」とあった。これに対して、全国紙は写真説明に「玉入れ競技はマスクをして行われた」とあるだけ。


   ここからは私の推測。ニュースを構成する元素の一つに「異常性」がある。「マスクをした運動会」はそれに当たる。で、「写真的にはおいしい」となったか。


   運動会という事実の「全体」を反映はしていないが、プログラムの「一部」には違いない。しかし、福島県以外の読者は「異常な運動会」という印象を持たないだろうか。写真説明に、玉入れはマスクをして、とあっても、それを読まない人だっている(最初、私がそうだった)。「誤読」されやすい写真ではある。


   福島と東京の距離を思う。今までは福島から東京を見るばかりだったが、今回は写真を介して東京から福島を見ることができた。東京に本社がある新聞社の「東京目線」、それを実感できた。

(タカじい)



タカじい
「出身は阿武隈高地、入身はいわき市」と思い定めているジャーナリスト。 ケツメイシの「ドライブ」と焼酎の「田苑」を愛し、江戸時代後期の俳諧研究と地ネギ(三春ネギ)のルーツ調べが趣味の団塊男です。週末には夏井川渓谷で家庭菜園と山菜・キノコ採りを楽しんでいます。
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