新興企業向け株式市場の東証マザーズ指数が散々な目にあっている。2012年5月14日には終値で、前週末(11日)と比べて16.38ポイント下落の336.30となり、09年4月23日に付けた338.80ポイント(終値)以来、約3年ぶりに340ポイントを下回った。
東証マザーズの主力銘柄の一つ、ミクシィの株価が2万6700円安の15万8100円と年初来安値を記録。サイバーエージェントも8000円安の20万2500円と大幅に下落したことなどが指数を押し下げている。
サイバーエージェントなども余波
東証1部に上場するソーシャルゲーム大手のグリーやディーエヌエー(DeNA)が5月7日に、いずれもストップ安まで売り込まれた。
原因は、ソーシャルゲームの「収益源」の一つとされる「コンプリートガチャ」が景品表示法に抵触する可能性があると消費者庁が判断したとの報道があったためだ。グリーは1651円と年初来安値を更新。DeNAも1990円と2000円を割り込み、両社とも2割超の大幅下落となった。
先行きへの不安から売りが膨らみ、ソーシャルゲームを開発する会社なども軒並み下落。市場はさながら「コンプガチャショック」の様相だった。
もちろん、マザーズにもそれが「飛び火」した。サイバーエージのほか、ミクシィやKLab、ドリコムなどのソーシャルゲーム関連株は軒並み急落した。ある中堅証券のアナリストは、東証マザーズに上場する企業は35.4%が情報・通信、23.6%がサービス業だから、「どうしても(指数は)影響を受けやすく、動きも大きくなりやすい」と説明する。
とはいえ、あまりの株価変動に、グリーやDeNA、ドワンゴ、サイバーエージェントにミクシィなどのプラットフォーム6社は、開発、運営しているソーシャルゲームのすべてのコンプリートガチャについて、新規のリリースを中止。また現在運営しているソーシャルゲームのコンプリートガチャも5月31日までに終了し、新たには取り扱わないことを発表。ようやく株価も落ち着いてきたかにみえていた。
5月14日の日経平均株価の終値は前週末比20円53銭高い8973円84円で引けた。東証1部に上場するグリー株は同18円高の1458円、DeNA株も26円高の2004円と、わずかだが上がった。
Klabは18日にマザーズから東証1部に指定替え
ところが、SNS大手のミクシィの5月14日の株価は前週末(5月11日)に比べ、一時は15万7000円の年初来安値を更新したほど値を下げた。サイバーエージェントも大幅に下落。ドリコムなど、マザーズに上場するソーシャルゲーム関連株は終始売り気配にあった。
コンプリートガチャ騒動で揺れるなか、ドリコムは10日に2013年3月期の業績予想を発表した。コンプガチャを取り扱わないことを前提とした数字として、売上高は前期比74%増の125億円、経常利益は同48%増の20億円、当期純利益は同49%増の12億円になると増収増益を見込んだ。それにもかかわらず、評価は上がらなかった。
一方、ガチャ騒動の最中には売り注文が殺到して取引が成立しなかったKlabは14日、前週末比100円高の617円と、ストップ高を記録した。同社が18日にマザーズ市場から東証1部に指定替えとなるため、とみられている。マザーズ市場に上場後、約8か月での東証一部への変更は史上最短記録なのだ。
現状、売上高に占めるコンプリートガチャの割合は平均約15%とされる。コンプリートガチャによる収益源は「売り材料」であることには違いない。しかし、それが「どの程度、収益に影響するのかはまだ不明。さらに規制への動向に社会的な注目が集まれば、その影響も受けるでしょう」(中堅証券のアナリスト)とみている。