経産省が「暗躍」してシナリオ?
東芝は2002年に赤字続きのDRAMから撤退している。一方で、デジタルカメラなどの保存に使う「NAND型フラッシュメモリー」と呼ばれる半導体に注力してきた。最近では、需要の高まるスマートフォンで、DRAMとNAND型フラッシュメモリーを同時納入できるメーカーが優位な状況にあるとされる。エルピーダのDRAMを手中に収めれば、そうした優位な状況に立てるメリットがあるため、東芝は第2次入札でSKハイニックスと組んで応札することを模索している、との見方は日本経済新聞などが盛んに報じていた。
しかし関係者によると、東芝に第1次入札参加したのは、どうやら、300億円の公的資金を注入しながら経営再建に失敗し、ほぼ回収の見込みが立たなくなって国民負担を余儀なくされた経済産業省が背中を押したためだったようだ。業界には「東芝自身はもともと興味がなかった」との見方が多く、東芝内部からも「もはや汎用品のDRAMメーカーの支援などしたくない」との声がある。「NAND型フラッシュメモリーと組み合わせた納入でも、さほど優位にならない」との声もある。
このため、第2次入札で東芝がSKハイニックスと組むというシナリオには経産省が「暗躍していた可能性がある」との見方も根強い。
実際、「東芝断念」が伝えられるたびに「余計な負担を背負わずにすむ」(アナリスト)として東芝の株価が上がった。東芝の「エルピーダ支援断念」は「経営の損得勘定で経済産業省の言うことばかり聞いていられない」ためでもあるようだ。