中国台頭に危機感募らす日本 ASEAN経済連携協定へ参加の背景

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

中国はすでにASEANと個別にFTA締結

   閣僚らを被災地で出迎えた理由は他でもない。復興状況の遅れや福島第1原発事故の影響に対する不安を解消してもらい、「日本の底力」への認識を深めてもらうためだ。視察先にトヨタ自動車系のハイブリッド電池システム工場が組み込まれたのも、震災で被害を受けながらも、直後の減産からいち早く回復し、フル稼働が続く製造業の現場を見てもらうのが目的だった。

   日本の焦りは強い。ASEANは今でも日本車や日本製の電気製品が目立ち、日本の庭先市場といえるが、近年は中国が豊富な外貨を背景に投資を拡大している。2010年までは年2500億ドル(約20兆円)前後でほぼ拮抗していた両国の対ASEAN貿易額は、震災直後の減産やタイの洪水で日本企業の現地工場が被害を受けたことによるサプライチェーンの寸断もあって、中国が上回ったとみられている。

   中国はすでにASEANと個別に自由貿易協定(FTA)を結んでおり、ASEANが呼び掛ける広域協定でも中国の先行を許せば、日本の地位低下に拍車がかかりかねない。日本としては、中国への関心が高まるASEANの視線を再び日本に振り向け、貿易障壁を相互に解消しながら、産業の分業体制をより強固にしたいという狙いがあるのだ。

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