消費税論議、「軽減税率」が焦点に 世論調査で「8割」が導入求める

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制度が複雑になり、税収が減る懸念

   このような問題を抱える軽減税率だけに、「制度が複雑になり、事業者の負担が大きくなる」(五十嵐文彦副財務相の7日の記者会見)との懸念は強い。また、法人税の各種優遇措置(租税特別措置)のように業界ごとの「利権の温床になる」(民主党税調幹部)とも指摘される。

   加えて、税収が大きく落ち込む心配もある。食品や新聞・出版物、医薬品への税率をゼロにしている英国の場合、軽減措置で付加価値税の税収が本来の6割強にとどまっているといわれるから、軽減税率をなくせば20%の税率は一律12%で済む計算だ。

   日本の財務省の試算では、消費税率を5%から10%に引き上げると13.5兆円の税収増が見込まれるが、課税品目の4分の1程度を占める食料品を5%のまま据え置くと、税収増は年間10.1兆円にとどまり、13.5兆円の増収を確保するには、標準税率を11.67%にする必要があるという。

   軽減税率は消費税導入時、1997年の引き上げ時にも議論になったが、低所得者対策は一定の給付措置などで済ませ、一律の税率でここまできた。ただ、その当時の大蔵省内にさえ、「標準税率が10%からさらに高くなる段階では軽減税率導入もありえる」との声があった。

   10%で軽減税率を導入するのか、さらに次の引き上げまで待つのか。消費税のあり方に大きく影響するテーマだが、与党内にも小沢グループなど増税反対・慎重派を抱え、与野党入り乱れた政争の様相が強まる中、冷静な制度論議をどこまで深められるのだろうか。

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