トヨタ自動車が、LPG(液化石油ガス)を燃料とするタクシー専用車の生産を2017年末にも中止し、「プリウス」などと同じガソリン・ハイブリッド車にタクシー専用車を切り替える。
LPGタクシーではトヨタがシェア9割を占めるだけ影響は大きく、「トヨタ・コンフォート問題」「2017年問題」などとして、LPG車のユーザーであるタクシー業界、燃料を供給するLPG業界を揺るがしている。
LPG車のエンジン性能が大きく落ち込む
LPGタクシーは1960年代前半に登場し、燃料であるLPGの価格の安さから普及してきた。しかし、次第にLPGの価格的魅力が薄れこと、日本のLPGエンジンの電子制御化が大きく遅れ、ベースのガソリン車に比べてLPG車のエンジン性能が大きく落ちていたこともあって、個人タクシーを中心にLPG車離れが進んだ。
さらに最近は、燃費のよいガソリン・ハイブリッド車が登場し、トヨタの販売戦略も手伝ってタクシー車両としてハイブリッド車が大量に利用され始めている。
今回のLPGタクシーの生産中止もトヨタのハイブリッド戦略の延長線上にある。トヨタは中長期の車両開発方針として、車両サイズごとにプラットフォーム(車台)、パワートレーンを共通化する「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)」構想を進めている。一方で、バリアフリー関連の法律で、タクシー車両はユニバーサルデザイン(UD)への切り替えが求められており、このタイミングでトヨタはガソリン・ハイブリッドのタクシー専用車を投入することを検討している。