データ定額プランなくなれば「無料」でなくなる?
無料通話アプリの利用者拡大は、携帯電話会社にとっては苦々しいに違いない。携帯電話同士でも相手が他社と契約している場合や、固定電話に電話するときは当然料金がかかるが、スカイプやLINEを使えばスマホやPC間で「タダ」で話せる。金額面をとれば、利用者にとってどちらが魅力か明らかだろう。
通信ネットワークへの負荷が増大する点も、携帯各社にとって頭が痛い。NTTドコモは2012年1月25日、東京都内で最大252万人が影響を受ける通信障害を起こした。その原因としてドコモが挙げたのが、無料通話アプリだった。スマホを操作していない状態でもアプリが3~5分間隔で自動的にサーバーと制御信号をやり取りするが、ちょうど交換したパケット交換機と呼ばれる装置が信号を処理しきれなかったため障害につながった、というのがドコモの説明だ。
携帯各社としてはスマホの販売拡大に力を入れるが、それとともに無料アプリの利用者も増大する可能性が高まり、結果的にネットワークはますます厳しい状態に追い込まれる。電話がつながらなくなれば、非難されるのは携帯電話会社であり、何とも悩ましい。
無料アプリが「無料」でいられるのは、国内の携帯各社が提供しているデータ通信定額プランのおかげといえる。仮に今後、米国のように各社がデータ利用分に応じて料金が加算される従量課金プランに移行したとすれば、通話時間に応じて料金は多額になっていくはずだ。現状でも、日本で契約したスマホを海外で使う場合、携帯電話会社が指定した現地の提携業者以外をうっかり使ってしまうと、アプリ経由で通話しても「データ定額制」でなければ別途料金を請求される可能性がある。