東電が落雷事故から解明した「雷の道」【福島・いわき発】

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   きのう(5月7日)の続き――。雷雨による停電(わが家は無事だった)はともかく、竜巻(テレビで見たつくば市その他)の被害はけたが違う。黒々と渦を巻いた空気が大地にあるものを切り裂く。きのうも夕方、晴れていた空がかき曇り、鉛色の雲に覆われた(=写真)。心配になった。たまたまわが家の近辺は遠雷ですんだ。


   つくば市の竜巻被害は局部的・直線的であっても、1軒1軒の被害としては「津波」に匹敵するほどの大きな自然災害だったろう。その被害の大きさに胸が痛む。


   無事なところにいた者でさえ、6日午後の雷雨には恐れをなした。車には落雷しないとわかっていても、国道6号を走りながら放電と落雷のなかに閉じ込められた、という気持ちに襲われた。


   「雷の道」がある。根本順吉著『江戸晴雨攷』(中公文庫)のなかの「夕立」によると――東電管内、つまり関東圏には7つの「雷の道」がある。東電の人間が落雷事故からルートを解明した。なかでも優勢なのが「赤城・榛 名系統」の雷。北西から南東に進む。おおかたはその方向で移動する。で、「世界的に見ても関東地方は雷の多発地帯」なのだという。


   夏井川渓谷の無量庵でものすごい雷雨に襲われたときがある。雷が横に走るのを見た。音も光もすぐそばだ。雷雲の真っただ中にいる。地響きがして空気が震える。電気を消して縮こまっているしかなかった。


   近くの水力発電所に勤めていた集落の長老によると、夏井川渓谷近辺には二つの「雷の道」がある。一つは、白河あたりで発生した雷雲が久之方面に抜けるルート。もう一つはより北側、会津方面からやってきたのが木戸川(楢葉町)あたりに抜けるルートだ。


   怖いのは「白河―久之浜」線だという。直撃を受ける可能性がある。「会津―木戸川」線の場合は、遠雷ですむ。7日の遠雷はそれだったか。


   関東の竜巻の話に戻る。竜巻は、関東にある7つの「雷の道」とは進路が異なるようだ。つくば市でも、栃木県でも南西から北東へ突っ走った。「雷の道」のなかに「竜巻の道」が派生するのかどうか、しろうとにはむろんわからない。が、竜巻は「テレビで見るアメリカの話」ではなくなった。大災害を引き起こす「現実」になった。

(タカじい)



タカじい
「出身は阿武隈高地、入身はいわき市」と思い定めているジャーナリスト。 ケツメイシの「ドライブ」と焼酎の「田苑」を愛し、江戸時代後期の俳諧研究と地ネギ(三春ネギ)のルーツ調べが趣味の団塊男です。週末には夏井川渓谷で家庭菜園と山菜・キノコ採りを楽しんでいます。
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