松井秀喜、最後のチャンスに挑む 「名誉ある引き際」を求めて

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松井の引き際は王タイプか野村タイプか

   かねて「日本球界への復帰は考えていない」と言っていた。名門ヤンキースの4番を打ったプライドを持つ松井にしてみれば、大リーガーとして現役を終えたい、という決意の表れなのだろう。昨年オフ、アスレチックスから自由選手になって以来ずっと「名誉ある引退の場」を求めていたのかもしれない。

   マイナー契約の最低保障は日本円でおよそ630万円(メジャーは約3900万円)。メジャーとマイナーでは天と地ほどの差がある。日本に戻れば億の年俸は間違いないだけに、松井の「大リーグ」へのこだわりを感じる。

   一流選手は現役を退くとき、大きく分けて二つのタイプがある。一つは「自分のプレーが見せられることができなくなったら退く」タイプ。もう一つは「オファーがある限りとことんプレーする」タイプ。

   前者は王貞治型で、王は30本塁打を打ちながら「ファンの期待に応えられなくなった」といってバットを置いた。念願だった「3000試合出場」まで169試合を残しての引退だった。後者は野村克也型といえよう。野村は「生涯一捕手」と言い、26年間もプレーし、日本球界唯一の3000試合(3017試合)出場を果たした。

   松井はどちらのタイプになるのか。日本人大リーガーとしてファンを興奮させてきたバッターだけに有終の美に向かって活躍してもらいたいと思う。ダルビッシュとの対決が見たいものである。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)

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