「為替リスク」の抑制に懸命
トヨタにとって「円高」は難題。2012年3月下旬の記者懇談会で、豊田社長は「1ドル95~100円程度で推移してくれれば」と漏らした。やや解消したとはいえ、現在の「1ドル80円台」の水準はトヨタにとって、なお円高なのだ。
米格付け会社のムーディーズ・ジャパンは「トヨタ 為替リスクが引き続き課題」と題したレポートで、「円高によってトヨタの収益性が圧迫されている」とコメント。さらに、「トヨタは輸出比率が高いため、同社は海外市場での値上げやコスト削減に取り組んでいるものの円高の影響を相殺するには十分でない」と指摘している。
TIWの自動車アナリスト、高田悟氏は「80円台前半では厳しいところ。円安が期待できないなかで、現地生産、調達力の強化、部品の共通化などに勢いをつけて取り組んでいくこと。中期的にはそれが足もとの体制をしっかり整えることになると判断したのでしょう」と説明。とにかく、いまは輸出比率を引き下げ、為替リスクを抑えることに懸命なようだ。