日本人副領事はなぜ逮捕されたのか 外交官なら「不逮捕特権」があるはずなのに

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副領事は「外交官」ではなかった

   それでは、今回の「副領事逮捕」は、日本側が米側に抗議するべき案件なのか。

   実は、副領事ら総領事館に務める外交職員は、「外交官」ではない。あくまで「領事官」だ。総領事館トップの「総領事」も、外交官ではなく領事官だ。

   外交官とは、大使館に派遣された外交職員を指す。他省庁からの出向かどうかや、キャリアかノンキャリアかは関係ない。

   例えばアメリカ現地なら、日本大使館は首都ワシントンDCにあるだけだ。一方、総領事館は、シアトルやサンフランシスコ、ニューヨーク、ホノルルなど15か所にある(ほかに出張事務所も)。

   今回逮捕された副領事は、外交官ではないので、いわゆる「外交官不逮捕特権」は適用されないことになる。

   「領事官」については、別に「領事関係に関するウィーン条約」がある。「身体の不可侵」規定はあるが、「外交官」より弱く、例外がある。「重大な犯罪の場合において権限のある司法当局の決定があったときを除く」などとなっている。

   裁判の免除も「任務遂行に当たって行った行為」に限定されている。任務以外のことなら裁判にかけられる、というわけだ。

   読売新聞などは、在サンフランシスコ日本総領事館の「今後の司法手続きを見守りたい」とするコメントを報じている。

   ちなみに、東京の外務省本省勤務の場合は、「外務公務員」と呼ぶ。海外の大使館や総領事館に赴任する際に、「外交官」や「領事官」に任じられる。帰国して国内勤務になれば、「外交官」「領事官」ではなくなる。

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