沿岸被災地からの避難者がホタテ汁に舌鼓 「故郷って、ありがたい」【岩手・花巻発】

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浜名物のホタテ汁は飛ぶように売れた=花巻市一日市商店街で
浜名物のホタテ汁は飛ぶように売れた=花巻市一日市商店街で

(ゆいっこ花巻;増子義久)

   「やっぱり、浜の味は美味しいねェ…」―。6日、恒例の花巻市一日市商店街の朝市で沿岸被災地から同市に避難している被災者がホタテ汁に舌鼓をうった。毎月第1日曜日に開かれる朝市は今年で24回目。幕開けのこの日は「ゆいっこ花巻」の橋渡しで大槌町で漁業をしている越田秀一さん(39)ら3人の仲間がホタテの稚貝がどっさり入った浜名物のホタテ汁などを振る舞った。


   越田さんの父親はあの大震災で犠牲になり、3隻あった漁船や漁具もすべて津波に流されてしまった。小さい時から父親と一緒に海に出ていた越田さんは一時は漁業を断念しようか思った。「お前が身を引いたら大槌の漁業は完全にすたれてしまう」と仲間が背中を押した。


   数日続いたシケのために魚は並べることはできなかったが、採れたての塩蔵ワカメはあっという間に売り切れてしまった。大なべ4杯分のホタテ汁の前には市民や被災者が列をなした。遠く福岡県や仙台市からやってきたボランティアの人たちも応援に駆けつけた。香ばしい潮の匂いがあたりに漂った。「故郷って、有難いもんだねぇ」と内陸避難者のみんなが口をそろえた。


   朝市は今月から10月まで6回、開かれる。「これからもどんどん海の幸を持ってきてほしい。ほんのささやかな支援だが、被災地と内陸を結ぶきずなを大切にしていきたい」と杉本憲保・商店街理事長。越田さんら3人も「来月はほっぺたが落ちるような新鮮な魚を食べていただきます」と満面に笑みを浮かべていた。



ゆいっこ
ゆいっこネットワークは民間有志による復興支援団体です。被災地の方を受け入れる内陸部の後方支援グループとして、救援物資提供やボランティア団体のコーディネート、内陸避難者の方のフォロー、被災地でのボランティア活動、復興会議の支援など、行政を補完する役割を担っております。
ゆいっこは、「花巻」「盛岡」「北上」「横浜」「大槌」の各拠点が独立した団体として運営しておりますが、各拠点の連携はネットワークとして活用しております。
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