「津波で庭の花もすべて流されたので、花をもらえて嬉しいです」
翌4月28日には、岩手県大船渡市の地ノ森仮設住宅に伺いました。お届けした花は、岩手県大船渡市にある知的障害者就労支援施設・慈愛福祉学園の方々が育てたマリーゴールドです。慈愛福祉学園では、施設利用者が育てた花を近所で売り生計を立てていましたが、震災後は地域住民も被災したため、販路が断たれています。
お花をお届けした中村ちや子さんは津波で自宅が壊され、現在は知的障害のある息子さんと二人での仮設暮らしです。以前は自宅の庭でたくさん花を育てていましたが、すべて津 波に流されてしまいました。「花が大好きなので、こうして届けていただきありがたいことです」と深く頭を下げてくださいました。中村さんは、私たちがお届けを終え車で帰路につく際も、最後まで手を振って見送ってくださいました。
同じく仮設に住む黒沢昭代さんは、大阪府に住む30代の女性からの「花を見て、あなたの笑顔も一緒に咲きますように」というメッセージに、「遠くからの応援ありがとうございます」と、笑顔で答えてくれました。黒沢さんは、震災当日は高台に避難して助かりましたが、自宅は津波で全壊。その後1ヵ月近くの避難所生活を経て、現在の仮設に父親、姉とともに暮らしています。仮設は4畳半と5畳の二間のみ。収納もなく狭い中での生活ですが、「不便なこともあるけれど、なんとかやっています」。