コンビニエンスストア大手のセブン-イレブンが、北海道内全店舗でおにぎり、寿司、弁当などに使う米を北海道米に切り替えた。コンビニ業界では初の取り組みだ。
北海道米の人気は近年高まっており、コシヒカリやあきたこまちなど本州の人気銘柄に迫る勢いだ。今後ほかのコンビニチェーンが追随するのか、注目が集まっている。
上質な「ゆめぴりか」などを使用
セブン-イレブン・ジャパンは2012年5月7日から、北海道内のセブン-イレブン全店(4月30日現在847店舗)でおにぎり、寿司、弁当、ドリアなど米を使用する全商品について北海道米に切り替えた。他の地域で北海道米は使っておらず、北海道米を100%使用するのは初めて。北海道庁が取り組む北海道米食率向上に賛同して実施するものだ。広報によると、上質さで人気のブランド米「ゆめぴりか」などを使用する。
かつて北海道は米を育てるには寒すぎるとされ、味の悪さから「やっかいどう米」と揶揄されることもあった。しかし、1988年に品種改良された「きらら397」が登場してから人気が急上昇した。89年度には41%だった道内における北海道米の食率は、2011年度には2倍の82%にまで上昇した。
11年7月発表の農林水産統計によると、10年度の水稲うるち米・もち米の都道府県別販売量は北海道が約32トンで首位となっている。2位は秋田県の約9.2トン、3位は山形県の約9.1トンだった。米どころとしておなじみの新潟県はこの年不作で、約7.5トンの5位にとどまった。11年秋からは「ゆめぴりか」の本格的な全国展開がスタートし、北海道米の勢いはとどまることを知らない。
「仕分け集荷」「安定した日照」がカギ
北海道米の人気の秘けつは何なのだろうか。ホクレン農業協同組合連合会が発行しているニュースレター「北のごはん倶楽部」2号(06年12月発行)では、「品質にばらつきが少ない」ことを一因として挙げている。北海道では米を収穫した段階で、おいしさの決め手となる「タンパク値」と粒のきれいさを示す「整粒」とで品質を分ける「仕分け集荷」を大型施設で一気に行うため、同じ銘柄であればどこで買ってもほぼ同等の品質が買えるのだという。6月に梅雨がなく、他地域と比べて安定した日照が得られるのも利点だ。
料理評論家の山本益博氏は北海道米についてこう話している。
「北海道は本来、米の栽培には向いていませんが、技術の改良に加え、地球温暖化も手伝って、米の名産地がどんどん北上しています。この10年で北海道産の米はとても進化を遂げています。私はまだ『ほしのゆめ』『ゆめピリカ』くらいしか印象に残っていませんが、十分な甘みには欠けるものの美味しいご飯です。現在は冷害より台風が天敵ですが、将来最も期待できる米の生産地になることは間違いありません」