ソニーや富士フイルムが提携申し入れ
笹新社長らオリンパスの新経営陣が直面する課題は、信頼回復と財務体質の改善だ。
新経営陣は11人の取締役のうち、「生え抜き」は笹氏ら3人だけだ。社外取締役は6人と取締役の過半を占める。6人は取引関係のない会社から招いており、後藤卓也花王会長、蛭田史郎旭化成最高顧問、藤田純孝伊藤忠商事副会長、西川元啓新日本製鉄常務、今井光レコフ社長、藤井清孝ベタープレイス・ジャパン社長の各氏。残る2人は先に賛成率の低さで触れた銀行出身者だ。
形式としては透明性の高い経営体制を整えたが、株主からは「生え抜き3人だけで取締役会が機能するのか」との疑問も寄せられただけに、今後はコーポレートガバナンス(企業統治)の実効性が問われそうだ。
一方、財務体質改善にも取り組む必要がある。損失隠しを反映した決算の修正により、自己資本比率は昨年12月末現在で4.4%まで低下した。同業のキヤノン(68.8%)、ニコン(46.8%)に遙か及ばないだけに「危機的な状況」(高山修一前社長)に違いない。
オリンパスには医療事業の強化を目指すソニーや富士フイルムホールディングス、テルモの3社が資本提携を申し入れている。第三者割当増資を引き受けてもらうことで資本増強するのも一つの手段になりうるが、株主総会で高山前社長は「提携ありきではない」とやや否定的なニュアンスを示した。笹新社長も「自力再建も視野にある」としている。社内には「毎年の利益で資本を積みますのも一手」との声もある。
ただ、市場には「新たな投資に踏み出すためにも資本増強は必要かつ急務」との指摘は多い。新経営陣は5月末にも提携を含めた新たな経営戦略をまとめる方針で、経営判断の時間は限られている。