日本得意のハイブリッド車は中国に浸透するのか 政府の「環境シフト」も追い風?

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   世界一の自動車市場となった中国市場の動向を占う「北京モーターショー2012」が2012年5月2日まで、中国の首都・北京で開かれた。部品メーカーなども含め、最大市場の攻略を目指す世界中の約2000社が参加。中国政府の「環境シフト」も追い風に日本勢は得意のエコカーをトップがアピールした。欧米勢も小型車などでさらなる市場開拓を狙う。

   中国の自動車ショーは毎年春、北京と上海で交互に開かれ、各メーカーのトップがそろい踏みする。

トヨタ「中国で生まれたハイブリッド車を届けたい」

雲動双擎(ユンドンショワンチン)
雲動双擎(ユンドンショワンチン)

   政府の販売奨励策打ち切りや景気減速もあって2011年の新車販売は前年比2.5%増の約1850万台と、32%増だった2010年よりは伸びが鈍化したが、いずれにせよ3年連続で米国(昨年は約1280万台)を抑えて世界一で、日本市場(昨年は約420万台)の4倍以上。今年は勢いを取り戻しているとされ、「初の2000万台も視野に入る」(日本メーカー幹部)だけに、世界で初めて披露されることを意味する「ワールドプレミア」も今回は計36台に上り、各社ともシェア拡大に懸命だ。

   トヨタ自動車は、エンジン部分を中国で開発したハイブリッド車(HV)の試作車を初公開した。ショーの初日、その車の前に立った豊田章男社長は「中国で生まれたハイブリッド車を届けたい」と大きな身振り手振りを交えてアピール。「トヨタは中国で出遅れているという声を耳にするたびに悔しい思いをする」と正直な感情も漏らした。

   トヨタは2000年代に主要な部品を日本から輸出して組み立てだけを行う「ノックダウン生産方式」でHVを中国で生産したことがあるが、時期が早すぎたのか普及が進まず撤退。今回は技術流出のリスクもいとわず、主要部品の生産だけでなく開発まで中国内で行う「現地化」を進め、中国重視の姿勢に転換したと言える。

ホンダもHVが中国市場攻略の切り札

   中国市場における「外資」は11年、米ゼネラル・モーターズ(GM)が首位で254万台。独フォルクスワーゲン(VW)が225万台で肉薄し、両社は「2強」とも呼ばれているのに対し、日本勢は健闘している日産自動車が124万台だが、トヨタは日産の後塵も拝し、88万台にとどまる。トヨタとしては巻き返しが急務で、得意のHVで浸透を図る考えだ。

   ホンダもHVが中国市場攻略の切り札だ。伊東孝紳社長はショーで「合弁相手に(HV技術)使ってもらうことを考えなければいけない」と述べ、HVの基幹技術を中国企業に供与する方針を表明。ショーではセダンタイプなど2車種のHVを世界初公開した。

   日本のエコカーに追い風になるのは、中国の環境政策。急激な自動車の普及もあって中国は大気汚染が激しく、「北京では青空が見えない」とも言われる。こうした事態を打破しようとショーの直前の4月18日に中国政府は次世代エコカー導入推進計画を発表した。EVとプラグインハイブリッド車(PHV)の累計生産・販売台数を2015年に50万台、2020年に500万台超とする目標を掲げるもの。EVも含めたエコカーは、世界で躍進する韓国・現代自動車の弱点でもあり、日本勢にとってはチャンス到来とも言えるだけに、波にうまく乗る迅速な対応がカギを握りそうだ。

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