侍従によるお妃入り申し込み その日に「たまたま」取材で訪れていた
元「お妃選び班記者」の取材ノートから(7)

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「民間お妃が誕生しても大丈夫、心配ないですよ」

佐伯 当時は詳細不明で数週間後に分かるのだけれど、ぼくが訪問したのと同じ9月18日の朝に、黒木従達・東宮侍従が皇太子さまの名代として正田家を訪れ、美智子さんをお妃としてもらいたいと申し入れたんだ。そして、ここから先はぼくの推測だけど、午後に1時間ぼくが待たされたのも、黒木侍従もしくはその使いの人が再訪して、朝の申し出を再確認する場になっていたのではないかとにらんでいる。
   いずれにせよ、結果的に黒木侍従によるお妃入り申し込みという節目に、たまたまぼくが取材予定を入れていたために、冨美さんの不安の相談に乗る形となり、期せずしてぼくへの信用が深まったようだ。
   ぼくは、「時代は変わってきているので、皇室もいつまでも古い因習にとらわれているわけではないでしょう。民間お妃が誕生しても大丈夫、心配ないですよ」なんてなぐさめていた。正直、半分は「せっかく他社に先行して取材できているのに、正田家が断ると記事にならない。この縁談、うまくいってほしい」という「不純」な動機もまじっていたけれど。

<編集部注:佐伯さんが当時のことを語る際、「民間」時代の美智子さまのことは「美智子さん」と表現しています>


(佐伯晋さんプロフィール)

1931年、東京生まれ。一橋大学経済学部卒。1953年、朝日新聞社入社、社会部員、社会部長などを経て、同社取締役(電波・ニューメディア担当)、専務(編集担当)を歴任した。95年の退任後も同社顧問を務め、99年に顧問を退いた。

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