長距離ツアーバス事故の背景 労働環境に加え、シートベルトにも問題?

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金沢から運賃3500円は「相場」

   事故を起こしたツアーバスの運賃は、片道3500円。複数のツアーバスの価格比較サイトで確認すると、時期によって若干の変動はあるものの、金沢-東京ディズニーランド路線では、4列シートの場合は3500円が「相場」のようだ。また、同じツアーバスでも、3列シートでやや乗車定員が少ないバスは、6000円程度だ。

   なお、ツアーバスでは、道路運送法上、「下請け」であるはずのバス会社だけが安全確保の責任を負っている形になっている。現に、ツアーを手配したハーヴェストホールディングスの大屋政士社長は、5月1日の記者会見の中で、

「普段、夜行バスを、あんまり外注していないところに行かせたのが要因」

と、事故に関する責任をバス会社に押し付けるともとれる発言をしている。

   一方、前出の「高速路線バス」では、金沢から東京ディズニーランドを直接結ぶ高速路線バスの路線はないが、金沢-東京線の場合、4列シートで片道5000円、3列シートで7840円。30~40%程度高い価格設定になっている。

   なお、路線バスの会社でつくる「日本バス協会」が11年1月に発表した「大阪地区ツアーバス実態調査報告書」では、設備面については「高速路線バスと何ら変わらない車両仕様」としながらも、平均速度が100キロを超えていたことについて、

「極めて視界が狭まる速度となり、運転者の精神的疲労度増が問題」

と指摘。深夜の路線バスでは、2時間をめどに運転を交代するのが通常だとされるが、調査では3時間5分にわたって連続運転していたことから、

「改善基準告示違反ではないが、3時間以上の連続運行は疲労増が考えられる」

としている。また、パーキングエリアで運転手が交代する際、本来ならは点検作業を行うことが必要だが、これを怠っていたことも明らかになっている。

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