取り決め破っても罰則規定なし
海の航行上の安全確保に重要な役割を果たす海図は、閲覧する側にとって分かりやすさが求められるはずだ。これが電子海図で「ひとつの地名が、作成した国によって別の表記になっていては混乱をきたす」(海上保安庁海洋情報部)。IHOで統一的に定めた地名の表記を採用して電子海図を作成するのは、当然と言えよう。
しかし、IHOの取り決めを破ったからといって罰則があるわけではない。韓国が日本海の呼称を無視して「東海」と表記した電子海図を作成、配布した場合、利用者に影響が出る恐れはあってもそれ自体を取り締まるのは法的に不可能というわけだ。現に先のIHO総会の席では、韓国が作成した「東海」単独表記の電子海図を展示していた。韓国・朝鮮日報2012年4月27日の記事によると、この電子海図は韓国の国立海洋調査院が2年間、6億ウォン(約4200万円)かけて開発したのだという。今後量産を進めて関係国にばらまき、韓国の主張に賛同する国を増やして次回のIHO総会で逆転を狙う、という戦略も見え隠れする。聯合ニュースの記事でも、開発途上国の水路技術向上を支援しつつ「東海併記」の支持を訴えていくとの韓国当局筋の証言を紹介している。
20年以上にわたって日本海の呼称に異議を唱え続けている韓国だが、諦める様子は全くなさそうだ。あの手この手で「外堀」を埋めてくる可能性は強く、日本側もうかうかしてはいられない。