産経新聞「飲酒と同じくらい危険」
少年の行為が「故意」とみなされうるかについて、板倉宏日大名誉教授(刑法)は、次のように話す。
「より重い危険運転致死傷罪を適用することは、実際にはなかなか難しいと思います。少年は、酒を飲んでいたり、薬物をやっていたりしなかったといいますから。長く運転していたわけですから、運転ができる能力がないとは言えません。制限速度40キロのところを50キロで走っていたというのは、制御できないスピードとも言えないでしょう」
危険運転致死傷なら、最高で懲役20年の刑を下すことができる一方で、自動車運転過失致死傷なら、最高で7年の刑に留まることになる。無免許運転との併合罪で最高8年となるが、板倉名誉教授は、少年であることを考慮して、5年以上7年以下といった不定期刑になる可能性が強いとみている。
ただ、メディアからも「過失」に留めることを疑問視する声が出ている。産経新聞は、2012年4月25日付コラム「甘口辛口」で、「そもそも少年のような過去に免許取得歴のない我流の無免許運転自体、飲酒と同じくらい危険ではないのか」とし、「これで危険運転にならないのなら、何が危険運転なのかわからない」と書いた。
板倉名誉教授は、過失致死傷罪は、必ずしも軽いとは言えないとしながらも、裁判所などが危険運転と解釈してもよいのではないかと明かす。法廷でも、そうした判決が出る可能性がないわけではないとしている。
なお、同乗した少年2人は、ほう助罪で最高6か月以下の懲役刑になる可能性があるが、板倉名誉教授は、正式な裁判にはならず、家裁で保護処分になるのではないかとした。1~3年の少年院送りか保護観察が考えられるという。車を貸した知人については、ほう助罪で保護観察といった処分が考えられ、もし無免許を知らなければ、罪には問えないとしている。