経営再建中の日本航空(JAL)の植木義晴社長は2012年4月24日の定例会見で、12年3月期の連結業績見通しについて、「予想として示している営業利益1800億円は、大幅に超えるものと推測している」と、大きく上振れするとの見通しを示した。国内線・国際線ともに旅客収入が堅調な上、コスト削減の効果が続いていることなどが理由。JALは4月22日に、10年1月の経営破たん後初の新規路線(成田-ボストン線)を開設したばかり。今後も、「日本、アジアからの未就航地点」などを中心に新規路線を開設する意向を示した。
「第3四半期までの好業績に浮かれることなく、コスト削減などに取り組んだ」
この「営業利益1800億円」という数字は、12年2月2日に開かれた第3四半期の業績発表で示された数字で、正式な12年3月期の業績は5月14日に発表される。植木社長は、上振れの理由を
「第3四半期までの好業績に浮かれることなく、コスト削減などに取り組んだ」
などと説明。具体的には、
「1~3月の3か月にわたって国際線の収入が堅調だった。国内線は、1・2月は予想を若干割り込んだが、3月で取り戻した。1~3月で費用を削減できたのが大きかった」
と述べた。
初便が就航したばかりの次世代中型旅客機、ボーイング787型機については、
「4年近く待ってようやく手に入れた。シアトルのボーイング社に行って初めて(実機を)見たとき、私だけでなくJALの社員は、みんな目を潤ませていた」
と感慨深げ。12年度中に累計で10機程度が納品される見通しも明らかにした。
4月22日には成田-ボストン線に投入され、5月1日には成田-デリー線、5月7日には成田-モスクワ線、羽田-北京線に投入される。それ以外にも、成田・羽田-シンガポール線に投入されることが決まっている。新規路線として12年12月に開設される成田-サンディエゴ線、13年3月に開設される成田-ヘルシンキ線にも、同様に787が投入される。
新規路線は「日本、アジアからの未就航地点や、ワンワールドの拠点がベース」
13年度以降の新規路線については、
「我々の中に何点か候補地はある。ベースとしては、路線収支がしっかり出せることが大前提。ボストン線がそうだったように、日本、アジアからの未就航地点や、われわれの仲間であるワンワールド(アライアンス)の拠点。これをベースに考えている」
と方針を明らかにした。
例えば、ワンワールドの主要メンバーの米アメリカン航空の場合、ダラス、ニューヨーク(JFK)、ロサンゼルス、シカゴ、マイアミの5空港を拠点としているが、このうち、両社が日本やアジアへの直行便を飛ばしていないのはマイアミのみだ。マイアミは、米国南部やラテンアメリカへの拠点空港として知られている。