北朝鮮のサイバーテロ能力は「脅威」
「通告」に出てきた「特別行動」とは何を意味するのか。短距離ミサイル発射か、大統領府などに対するテロ攻撃か、サイバーテロなのか。単なる脅しに終わるのか――。
ミサイルについては、人工衛星と主張する事実上の長距離ミサイル発射を4月13日に失敗したばかりだ。その後、米朝合意を破棄し、核実験の準備を進めているが、核実験は過去にも実施されており、「今までにない」手段ではない。
韓国大統領府(青瓦台)への北朝鮮ゲリラ部隊突入事件は、1968年に起き、失敗に終わっている。
2010年には、韓国・延坪島を突如砲撃し、民間人ら4人が死亡した。同島周辺海域で韓国軍が行った射撃訓練への「報復」とされる。
短距離ミサイル攻撃を含めた軍による局地的な挑発も想定されるが、局地戦は、全面戦争への拡大に歯止めがかからない危険性をはらむ。
サイバーテロはどうか。米軍高官数人は、3月末の米下院公聴会で、北朝鮮がサイバーテロを実施する「実力」について、米国などに対し「脅威」になっているとの認識を示しており、現実味はある。
韓国の聯合ニュースは4月23日夜、韓国軍が、北朝鮮によるテロ攻撃やサイバー攻撃の可能性などに備え、「特別点検を行い防備態勢に入った」とする「軍関係者」情報を伝えた。
一方、韓国の中央日報は4月24日朝、「通告」の主体が、軍最高司令部などではなく、最高司令部の「特別作戦行動小組」だったことを指摘し、「発表の格は落ちる」「重みは落ちる」との分析を報じている。
韓国政府もソウル市民も冷静に受け止めている、と報じられているが、北朝鮮では、李政権に抗議する15万人規模の集会を4月20日に開くなど反発を強めている。今回の激しい「通告」が「口先だけ」に終わった場合、北朝鮮国内の不満が高まる可能性もある。