「日本海」の呼称をめぐる日韓両国での論争が、ここにきてヒートアップしている。モナコで現地時間2012年4月23日から開催される国際水路機関で、この問題が討議される可能性があるからだ。
最近では、「日本海」を正式名称と認める米国で韓国側の動きが活発化。ホワイトハウスのウェブサイトには、韓国が主張する「東海(トンヘ)」との呼称を使うように求める署名が9万件近く集まっている。
日本の侵略行為の結果「日本海」と変更?
くすぶり続ける「日本海」の呼称問題だが、日本政府は韓国の言い分を「根拠なし」と突き放す。外務省によると発端は1992年、韓国が「第6回国連地名標準化会議」で突如、「東海」の単独表記または「日本海と東海」の併記を求めてきた。韓国側は、「日本の植民地支配の結果、日本海の呼び名が定着した」と主張するが、日本側は「19世紀初頭の地図には既に日本海の表記が圧倒的に多かった」と真っ向から否定。国連も2004年に、日本海を「標準的な地名」として使う方針を確認したとしている。
韓国側はこれまで、外国の古地図に「東海」の表記があったと異議を唱え続けているが、最近は特に米国での活動が目立つ。そのひとつが、ホワイトハウスのサイト上に設けられている「陳情ページ」の活用だ。米国では国民の請願権が憲法上認められており、インターネットを通じて誰でも政府に陳情できる。
2012年3月22日、このページに「東海:教科書に誤った歴史」と題して、「子どもたちは正しい歴史を学ぶ権利がある」と日本海の表記修正を求めた署名活動が始まった。そこでは「日本の侵略行為の結果『東海』は、1928年に『日本海』と変えられた」「朝鮮半島は1945年に解放されたが、日本は『東海』の呼称の『返還』を拒み続けている」などと糾弾している。陳情に必要な署名は2万5000件だが、実際には8万9375件が集まった。
国際機関ではなくなぜ米国で声をあげたのか。これには伏線があった。米東部バージニア州で1月、州内の公立学校の教科書に日本海と「東海」を併記することを求める法案が提出されたものの、1票差で否決されていたのだ。
米政府機関の「地名委員会」は、今日でも日本海を正式名称と認めている。一方、韓国系米国人の人口は、2010年の国勢調査で約170万人と日系人を上回っており、米社会で存在感を増している。2012年3月には、米ニューヨークタイムズ紙に出した広告デザインに「東海」の表記を忍び込ませるなど、力技を使いながら粘り強く「呼称変更」を訴え続けて、なんとか風穴を開けようという戦法にもみえる。