「アメリカの大企業は事業のほんの一部分についてしか税金を払っていない」
フランス政府が強気なのには理由がある。外国法人の事業活動について課税するための基準を検討していて、グーグルに対して適用できると考えているからだ。判例に基づく解釈通達として次の3点を適用基準としてあげている。(1)恒久的な施設を有する、(2)外国企業の代理人がその事業に関わる業務を独立して行っている、(3)cycle commercial complet(完全な事業活動)。「cycle commercial complet」とは、仕入れから販売まで事業を一貫して行っていることを意味し、これをあてはめれば、現行の法律を変えることなく、外国法人の「本当の売り上げ」に対する課税が可能だと見ている。
レクスプレス誌のエマニュエル・パケット記者はJ-CASTニュースの取材に対し「マイクロソフト、グーグル、アマゾン、アップルといったアメリカの大企業は、彼らの事業のほんの一部分についてしか税金を払っていない。"Le cycle commercial complet"は、アメリカ企業が単なる使い走りではなく、フランスの領土において顧客を見つけ、みずからの裁量でサービスを売ることができる地域子会社であるということを証拠立てる」と解説した。グーグルと同様の手口で「節税」をしているアップルやフェイスブック、アマゾンなど米企業にも大きな影響を与えそうだ。
サルコジ仏大統領が、インターネット事業者の広告収入に対する課税いわゆる「グーグル税」にしばしば言及し、導入に意欲を示しているが、これは外国法人がフランス国内における事業収入に応じた税金を払っていないことへの苛立ちからきている。しかし、インターネット事業者すべてが対象になる「グーグル税」は国内ネット事業者からの反発も強い。
フランス政府が適用を考えている法令・基準は日本にもあり、所得税法基本通達で示されているが、判例で固まってはいない。通達などによれば、国内において行う事業から生ずる所得については、非居住者でも「恒久的施設」を持っていれば総合課税とされる。事業活動の拠点となっているホテルの一室などでも「恒久的施設」に該当すると見る。