首都圏中古マンションの成約急増 震災の影響遠のき、割安感

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   首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)の中古マンションの成約が急増している。東日本不動産流通機構(東日本レインズ)によると、2012年3月の契約件数は前年同月に比べて35%増の3388件となり、リーマン・ショック後の値下がりで成約が伸びた09年3月の3280件を上回って1990年の調査開始以来、過去最高を記録した。

   東日本大震災の影響がようやく薄れてきたことや販売価格の下落による割安感、また銀行が住宅ローンの推進を絞り込むとの見方が広がったため、「駆け込み」需要が増えたためとみられる。

12年3月は過去最高

   東日本レインズの「首都圏不動産流通市場の動向(2012年1~3月)」によると、首都圏の12年1~3月の中古マンション成約件数は8612件で、前年同期比9.5%増となった。2期連続で前年同期を上回り、10年1~3月(8249件)をも超える高い水準となっている。また、すべてのエリアで前年同期を上回った。

   成約物件の平均価格は2539万円で、前年同期に比べて2.2%下落。しかし、前期(11年10~12月)に比べると1.5%上昇している。前期比では5期ぶりの上昇だ。

   首都圏の中古マンションの動向について、みずほ証券のチーフ不動産アナリストの石澤卓志氏は、「(震災の影響が薄れてきた)昨年10月から回復してきました」と話している。

   販売が好調な理由は、「2008年以降、新築マンションの供給が減り、なかでも立地のよい物件が減ったことがあります。そのため、都心部や交通の利便性の高いエリアの中古マンションにユーザーの人気が集まるようになりました」と説明する。

   一部に、震災で被害を受けた人が中古物件に移転したり、より安全性の高い物件を求めて引っ越したりする例もあるという。

   なかでも、みずほ証券の資料では東京23区内の11年10~12月期の成約件数は2691件。前年同期に比べても2.95%増え、4半期ごとの成約件数をみても震災前の水準にほぼ戻ってきている。

   一方で平均販売価格は、11年10~12月期は3195万円だったが、前年同期に比べると7.69%も下落したまま。ただ、それもプラスに働いているようだ。

   石澤氏は、「昨年12月くらいからは新築の大規模マンションの販売が再開されました。新築物件の売れ行きも好調ですが、震災前と比べて価格が下がった例は少なく、新築物件に対して割高感が強まったことも(中古マンションの好調に)影響していると思われます」とみている。

   ちなみに、東京23区内の成約物件の平均築年数は17.34年。平均価格は3278万円になる。

「液状化」湾岸物件避ける傾向に「落ち着き」

   とはいえ、新築マンションに比べて、中古マンションで心配されるのは耐震性やライフラインだ。東京都内については、「液状化現象」が強く意識されたため、湾岸エリアの物件は敬遠された。

   そのため、「湾岸物件よりも多摩地区の物件の成約が増えたことは確かです。ただ、湾岸物件を避ける傾向は一部(千葉県の湾岸エリア)を除いて、昨年10月以降はだいぶ落ち着いています」(みずほ証券の石澤氏)という。新築の大規模マンションの販売も再開されている。

   石澤氏は「液状化現象の影響よりも、むしろ人気物件の家賃が上昇したことが原因」とみている。東京ベイエリアの人気が「復活」も間近なのかもしれない。

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