「都が購入」尖閣諸島の値段 3億から350億まで試算が乱れ飛ぶ

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   東京都の石原慎太郎知事が、沖縄・尖閣諸島の3島を購入する方針を打ち上げた。尖閣3島の値段の「相場」はいくらなのか。

   3億円程度との試算から、「中国人から40億円」「外国資本から350億円」の提示があったという情報まである。「現地」の沖縄県石垣市の不動産屋にも聞いてみた。

3島の国の賃借料、年2450万円

尖閣諸島の値段はいくらなのか。
尖閣諸島の値段はいくらなのか。

   石原知事は2012年4月17日、米ワシントンで「尖閣購入」方針を発表した。購入額については「言えない。そんなに高くない」と答えた。

   尖閣5島のうち、石原知事が埼玉県の地権者(69)と交渉しているのは、最も広い魚釣島と、その周辺にある北小島、南小島の計3島だ。魚釣島のやや北東に離れている久場島も私有地だが、国が借り上げ在日米軍に提供している。さらに東にある大正島は以前から国有地だ。

   魚釣島など3島は2002年以降、国が借り上げ「上陸規制」をかけており、賃料は3島計で年2450万円だ。現在の契約は、2013年3月末で切れる。

   都が土地を買う場合、「2億円以上かつ2万平方メートル以上」なら都議会の議決が必要になる。3島計の面積は、2万平方メートルを大きく超えており、問題は2億円以上になるかどうかだ。

   石原知事がいう「そんなに高くない」とは、どれくらいの金額が念頭にあるのか。東京都の担当者によると、「値段も含め、まだ何も決まっていない」。「おおよその金額想定」についても、「決まっていない」との回答だった。

   3島の値段について、「3億~5億円」説を紹介したのは、情報番組「みのもんたの朝ズバッ!」(TBS系、4月18日放送)だ。

   国が土地の賃借料を設定する際は、「通常、土地価格の5~8%」という専門家の見解を紹介し、「3島で2450万円」から単純計算すると、3億円から5億円になるとした。

   また、「モーニングバード!」(テレビ朝日系、18日)は、「10億円から数十億円」とする東海大海洋学部の山田吉彦教授の見方を伝えた。

「中国人が40億円で買いたいと」

   産経新聞も、石原知事発言があった4月17日(ネット版)、「『10~15億円になる見込み』(関係者)」と、山田教授に近い数字を報じている。

   東京都がいくらで買うのか、とは別に「3島の相場」の話になると、100億円を大きく超える情報もある。

   地権者の知人でフォトジャーナリストの山本皓一氏は、「200億円を提示したり、つい最近も中国人が40億円で買いたいと言ってきたりした」(日本テレビ系「スッキリ!!」、18日)という地権者側情報を語っている。

   地権者の弟、栗原弘行氏は「外国資本が350億円で買いたいと言ってきたこともある」(モーニングバード!、18日)と明かした。ただ、石原知事との間では、「いくらという話は出ていません」と説明した。

   「350億円」もの巨額の数字は、どういった根拠から出てくるのか。参考になるのは、2009年に台湾の不動産会社が公表した試算だ。尖閣諸島の土地価格を「約280億円」と見積もった。

   「現地」の沖縄県石垣市の不動産屋数件にも聞いてみた。「見当がつかない」「担当者がいない」という答えが多い中、石垣市の中心である石垣島のやや西にある無人島が3500万円で売られているという参考情報もあった。

   尖閣諸島は、石垣島の北にある。先の無人島の値段と面積を参考に、尖閣3島の面積から単純計算すると、3島の値段は約195億円になる。もっとも、「面積だけで単純計算しても意味はない」そうだ。

   東京都の猪瀬直樹副知事は、尖閣諸島の購入費について、全国から寄付を募る方針を明らかにしている。東京都の負担分が、議会議決が必要な「2億円以上」を下回る可能性もあるのだろうか。

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