韓国を旅行中に行方不明になり、拉致されたのではなどとして捜索願が出されていた兵庫県出身の女子大生が2012年4月12日に日本に帰国していたことがわかった。
発見されたのは、女子大生の所持金が底を付き、韓国の日本大使館に「お金がない」と相談したことがきっかけだった。この女子大生、行方がわからなくなってからの半年間は何をやっていたのだろうか。
日本大使館に「お金がない」と電話してきた
この女子大生は11年9月下旬に韓国を旅行中にソウルの観光ホテルで消息を絶った。ホテルの監視カメラには韓国人と思われる男性と連れ添う姿が映っていた。心配した両親は同年10月に韓国を訪れ捜索願を提出。日本と韓国のメディアはこの失踪事件を大きく取り上げ、拉致の可能性もあるなどと報じていた。
外務省によれば、韓国の日本大使館に女性の声で「お金がなくて困っている」という電話があったのは12年4月11日。今どこにいるのかと場所を尋ね、職員が会いに行くと、失踪騒ぎを起こしているこの女子大生がいた。職員は女子大生を大使館に連れて行き、日本にいる両親に娘を保護したことを伝えた。女子大生は帰国に前向きではなかったが、「ご両親が心配している」と説得、翌日に日本に送り届けたという。
この女子大生は韓国で、所持金が底を付き、誰かからお金を借りて生活していたようだが、貸した人からの被害届は出ていない。
女子大生の自発的な潜伏という結論
それではこの女子大生は半年の間いったい何をしていたのか。
韓国の有力紙「中央日報」11年11月23日付けの年電子版によれば、韓国の警察の捜査で、女子大生のクレジットカード使用内訳や通話記録を分析したが、お金が一度に大量に使われるといった誘拐や拉致特有の状況はなく、連れ添う韓国人男性は恋人のようだった。さらに、男性と一緒の映像メッセージを日本の親に送っていることから、韓国側は
「この女子大生の自発的な潜伏という結論を出した」
と書いている。
また、4月19日付けでは
「『愛の逃避』日本女子大生、韓国男性と別れる」
という見出しの記事を掲載し、今回の「事件」の発端であり、ずっと行動を共にした韓国人男性と思われる人物と4月中旬に破局した、と書いた。産経新聞などの記事を引用したもので、これまでの生活費は韓国観光情報サイト「コネスト」で知り合った日本人観光客から借り、その額は23万円ほどになる。そのときは「日本に帰って返す」と話していたという。