他地域の仮設住宅の方々と交流するきっかけに
内響の仮設にお住まいの皆さんを支えるのは、東松島市社会福祉協議会、鳴瀬サポートセンターの所長である片岡君江さんです。震災後石巻市の北上仮設住宅を支えてきた、北上とんぼ玉クラブ代表の山下久恵さんから「うちでも是非作ってみたいけど、残念ながら先生がいません」という声が難民を助ける会に届きました。二つの仮設は車で約1時間の距離があります。決して近い距離ではありません。片岡さんに2つの仮設の合同での手芸教室の開催をご相談すると「離れた仮設と仮設が交流をすることは今まで無かったこと。これは素晴らしいことですよ!」と快く引き受けてくださいました。このようなご協力があって、合同でつるし雛を作る会が、3月8日に開催されました。目標は、つるし雛の飾りとなるだるま人形を各自が一つ完成させることです。
当日は、二宮さんをはじめとした内響仮設住宅の皆さんが、あらかじめ布地を裁断してくださり、型紙、作り方の説明書なども準備してくださっていたので、皆さん1つずつ、多い方は3つものだるま人形を作り終えることができました。北上仮設住宅の皆さんもこれまでに作った折り紙飾りやミサンガを披露しながら、お互いの仮設住宅でどのような手工芸品を作っているか、情報交換を行いました。
他地域の仮設住宅にお住まいの方々が交流を持つことができ、双方ともに充実した時間を過ごされていたようでした。北上仮設住宅のミサンガを見て東松島の方が「私もこれを作ってみたいわ」と話されると、北上の方が「ぜひこちらにもいらしてください」と答えられる場面もあり、今後さらに交流が深まっていくことが期待されます。
また、「わたしは家も何もみんな流されてしまったけど、あなたのところはどうなの?」「うちも同じ。でも無事でよかったわね」といった会話も耳にしました。被災の当事者同士であるからこそ、より深く共感するところがあるのでは、と思いました。
仮設住宅で暮らす方々の中には、震災によって家族や友人を亡くした方も多くいらっしゃいます。被災地の方々の寂しさを和らげ、また、互いに交流を持つきっかけにつなげるため、難民を助ける会は、これからも被災地の方々の「やりたい」を後押ししていきます。
(難民を助ける会 仙台事務所 日下由美)
つるし雛教室の様子と、二宮さんのお話を動画でご覧ください。(撮影:GlobalGiving)
認定NPO法人 難民を助ける会
1979年、インドシナ難民を支援するために、政治・思想・宗教に偏らない市民団体として日本で設立された国際NGOです。
2011年3月11日に発生した東日本大震災を受けて、地震発生当日より活動を開始。宮城県仙台市と岩手県盛岡市に事務所を構え、緊急・復興支援を行っています。
活動にあたっては、特に支援から取り残されがちな障害者や高齢者、在宅避難者、離島の住民などを重点的に支援しています。食料や家電などの物資の配布、炊き出し、医師と看護師による巡回診療など、多面的な活動を続けています。
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