ソーシャルゲーム「モバゲー」を運営するディー・エヌ・エー(DeNA)が、社員の増加などに伴い、本社を東京・渋谷の高層複合商業施設「渋谷ヒカリエ」に移転した。
DeNAが本社を移転したのは1999年の設立以来6回目。しかも、今度は渋谷駅に直結する「超一等地」である。2012年4月16日に、約1000人の社員を移した。プロ野球・横浜DeNAベイスターズの買収に本社移転と大攻勢が続く。
カフェの混み具合がオフィスのPCでわかる!
DeNAの本社移転は、国内外で急成長するソーシャルゲーム市場にあわせて、ゲームなどの開発に携わる優秀な人材を確保のための、積極的な採用活動の推進が狙いだ。今後の事業拡大をにらみ、将来的には約1800人が勤務することを見込んでいる。
「渋谷ヒカリエ」は、渋谷の新しいランドマークタワー。DeNAはその21階~26階に入居した。
そんなDeNAの社員食堂は、眺めのよい24階にある。「社員の健康的な食生活を支援するため」と設置されたカフェテリア「Sakura Cafe(サクラカフェ)」は、白い天井とレンガを敷き詰めた壁面で、オフィスとは趣の違う空間に仕上げた。
全130席のカフェテリアには100インチのプロジェクタが設置され、ランチタイムにはビュッフェ形式とランチボックス形式のいずれかを選んで食事ができる。
厨房を兼ね備えた社員の憩いのスペースであり、DeNAは「一生懸命働く社員の健康を第一に考えた、バランスのよいメニューを複数、(社員が)好みにあわせて選べるように取り揃えています。」と、その「献立」も自慢のようだ。
5月末からは、全社員を対象にランチの無料提供を開始するというから、ランチタイム(11~14時)の混雑も予想される。しかし、それを回避する工夫も施されていて、「じつはカフェのようすがLIVEで中継されているんです」という。カフェテリアの混み具合がオフィスの自分のパソコンで、居ながらにしてわかるので、「空いたときを見計らって食事に出られる」と、胸を張る。
ナイター見ながらのひと時も提供する
食事などの無料提供は「ランチ限定」だが、カフェテリアは朝9時から21時まで開いている。焼きたてのパンと淹れたてのコーヒーで朝食もしっかり摂れて、「仕事に支障のないようにしてもらえる」し、夜は夜で残業がなければ18時から、100インチのプロジェクタでDeNAベイスターズの野球中継を、大勢で応援して楽しむことができる。
「ランチ無料」を掲げる社員食堂には、IT企業が少なくない。楽天タワーにある楽天の社員食堂、「楽天食堂」もランチは無料だし、WEBインフラ事業のGMOインターネットが福利厚生の一環として「24時間無料」の社員食堂を開設したときも大きな話題となった。
さすがに「24時間無料」となると、海外でもグーグルやツイッター、フェイスブックなど数社しかないという。
社員にとって、ランチ代が浮くのはうれしい。中小企業などは羨ましい限りだろう。
だが、IT業界は長時間勤務で有名だ。「深夜労働が過酷で家に帰れない」とか、「早朝ミーティングで朝食を食べる時間もない」などといわれる。豪華な食堂は「仕事がハードな裏返し」と勘ぐる向きも少なくない。