「都が購入」でどうなる尖閣諸島 「上陸規制」から一転、「開発」?

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   石原慎太郎都知事が、米ワシントンで「東京都が尖閣諸島を購入することにした」と宣言した。沖縄県の尖閣5島のうち、最も大きな魚釣島を含む民有3島を買うことで地権者と「ほぼ合意」しているという。

   尖閣諸島では現在、民有の島を政府が借り上げ、領有権を主張する中国などを刺激しないよう、「上陸規制」をかけている。一方、石原知事は、尖閣諸島と周辺海域について、自然エネルギー開発や「豊穣な漁場」に注目している。仮に購入が実現すれば現状から一転し、「開発」でにぎやかになっていくのだろうか。

都議会の承認を得た上で

尖閣諸島の購入を東京都が予定している。
尖閣諸島の購入を東京都が予定している。

   石原知事は、日本時間2012年4月17日未明、ワシントン市内の講演で、「尖閣諸島購入」の方針を明かした。都議会の承認を得た上で2012年中にも、尖閣3島の購入契約を正式に交わしたいとしている。購入後、地元の沖縄県や石垣市との共同所有も検討するそうだ。購入予定額は明かしていない。

   都の土地購入では通常、2億円以上だと議会の判断が必要。購入目的も明確にする必要があるという。

   「(尖閣諸島が)東京都になるということですか?」。4月17日朝放送の情報番組「モーニングバード!」(テレビ朝日系)で、コメンテーターの清水宏保氏(元スピードスケート選手)は、石原知事発言を伝えるニュースを受け、こう素朴な疑問を口にした。

   男性アナウンサーは「別の問題です」と説明した。尖閣諸島の行政エリアは沖縄県石垣市で、石垣市内に東京都の所有地ができる形になるというわけだ。

   尖閣諸島は一般的に「5島3岩礁からなる」とされる。5島は、最も大きな魚釣島をはじめ、北小島、南小島、久場島、大正島がある。大正島は国有。久場島は民有だが、国が借り上げ、在日米軍の射爆撃場用として提供している。

   今回、東京都が購入の交渉をしているのは、魚釣島などほかの3島だ。3島も2002年以降、国が借り上げ(3島計、年約2500万円)、政府関係者以外の上陸は「何人も認めない」運用をしている。環境調査を望む学者らが、「調査要請を認めてもらえない」として会見を開き、不満の声を上げたこともある。

   外務省などによると、尖閣諸島は、明治政府が調査の末、1895年に閣議決定して正式に日本の領土に編入した。その後、大正島を除く4島について、日本人事業家への無償・有償貸与を経て、1932年に事業家親族へ払い下げられた。1970年代に現在の所有者側が買い取った。

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