アマゾン「年内に」日本で電子書籍スタート 「出版40社が合意」は本当か

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三木谷社長「安売りするようなことはしたくない」

   アマゾンでの低価格販売が国内でも実現すれば、出版社の収益を直撃するのは明白だ。この点、価格を決める主導権をどちらが取るかが交渉上の大きなポイントとなったようだが、先述の朝日の記事によれば「アマゾンが価格決定権を握ることに同意する社も出始めた」。これは、当初アマゾンが出版社側に突きつけていた契約条項のうち、いくつかを取り下げたことで妥協の余地が生じたためだという。

   ICT総研が2011年7月14日に公表した国内の電子書籍需要予測によると、コンテンツの市場規模は、2012年度の910億円から、15年度には1890億円に成長するという。しかし、現状ではコミックや漫画が国内市場をけん引しており、ほかのジャンルはまだまだ少ない。そこで大手出版社が中心となり、従来の書籍コンテンツの電子化を進める「出版デジタル機構」の設立が2012年3月29日に発表された。過去の作品をデジタル化して電子書籍のラインアップを充実させる取り組みとして注目される。

   興味深い動きもある。楽天の三木谷浩史社長は「週刊朝日」2012年4月27日号で、電子書籍市場への参入について述べた。楽天の場合「安売りするようなことはしたくない」「出版は文化」と、販売価格についてアマゾンとは言わば逆の戦略を口にした。2011年11月に買収を発表したカナダ企業の電子書籍端末「Kobo」を武器に、アマゾンの「キンドル」に対抗する。

   やや伸び悩みの感があった国内の電子書籍市場だが、アマゾンという大本命に加えて他のプレーヤーが続々と配信サービスを開始するとなれば、この1年で一気に活性化しそうだ。

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