ハロー!プロジェクトのプロデューサー、つんく氏が楽曲の中に入れた「仕掛け」がネット上で話題だ。2つのグループの全然別の楽曲を同時再生すると1つの曲になる、という手の込んだもので、「つんくの才能は涸れていなかった」といった声が挙がっている。
秘密の細工が仕込まれていたのは、ハロプロの姉妹グループ、Berryz工房と℃-ute(キュート)の楽曲。両グループともそれぞれ、2月中ごろに最新アルバムをリリースしていた。
多くのファンは2曲の関連性も意識していなかった
Berryz工房のアルバム「愛のアルバム8」に収録されている「Because happiness」はシンセサウンドを強調した、ユーロビート系の明るいナンバーだ。テンポもかなり速く、夏焼雅さん(19)らメンバーも元気に歌っている。
一方、℃-uteのアルバム「第七章 美しくってごめんね」収録の「幸せの途中」は、ピアノ伴奏による、スロウなバラード。矢島舞美さん(20)、鈴木愛理さん(18)の伸びやかな歌声が印象的だ。
どちらも作詞作曲つんく氏、編曲もこれまでハロプロ楽曲をたくさん手がけてきた大久保薫氏によるものだ。
アルバム発売時に、つんく氏がオフィシャルサイトで、両曲についてそれぞれ「実はこの曲にはトリックが仕掛けてあるんです」「この曲には実は隠された秘密があるんです」というコメントを寄せていたが、2か月経っても謎のまま。テンポも違うし、全く別の曲調なので、多くのファンは2曲の関連性も意識していなかった。
しかし、4月15日、2ちゃんねるに「つんくが言ってたベリキュー(Berryz工房と℃-uteのこと)のアルバム曲に隠されていたちょっとした仕掛けが判明したよ」というスレッドが登場。2曲を同時再生して一緒にした音源がYouTubeにアップされた。
音楽だけでなく歌詞も一つの世界作る
イントロでは、「Because~」のシンセ音の上に「幸せ~」のピアノ音がきれいに乗っかり、しっかりと調和している。テンポは、「Because~」の2拍が「幸せ~」の1拍に対応しているようだ。
歌が始まっても、交互に「たまに不安だよ」(℃-ute)、「チラリとあの子見たでしょ」(Berryz)、「だからキスをして」(℃-ute)、「落ち込んじゃうよ」(Berryz)、と呼応して、一つの世界を作っている。両グループ歌詞が同じところではハーモニーを聴かせる。
複数の曲を同時再生すると1つの曲になる、という手法は国内外で過去に前例があるが、アイドルの楽曲では極めて希だ。作り手側が「仕掛け」を明らかにせず、時間が経ってからファンが気付く、というのも珍しい。
「サビの部分が恐ろしくハマりすぎで鳥肌モノ」
ネットでも結構話題になり、2ちゃんねるやYoutubeなどに多くのコメントが寄せられた。「サビの部分が恐ろしくハマりすぎで鳥肌モノ」と驚愕するものが多いようだ。「つんくの遊びのレベル高すぎてやべえw」「つんくの才能は涸れてないね」といったもののほか、最近流行のAKBと比較して「秋元康が学校長なら、つんくは音楽専攻の教務主任みたいな感じ」という見方もあった。
ツイッターでは、つんく氏が4月15日に「わ!もうばれてもうた…」とコメント。ネタばらしはもうしばらく先の予定だったようだ。
なぜBerryz工房と℃-uteでこのようなことが企画されたのか。ネットでは、2012年が、両グループの母体になったハロー!プロジェクト・キッズ誕生10周年だから、という見方が有力だ。つんく氏による、メンバーへの愛情表現なのだろうか。
両グループとも現在別々に春のツアーを行っていて、コンサートではそれぞれ別に今回の2曲を歌っている。夏のハロー!プロジェクト・コンサートで一緒にステージに立つ予定なので、そのときに2曲合体バージョンが聴けるかも知れない。