「YMCA」なしでも7曲を歌いきる
「復帰コンサート」となった4月14日、ステージ裏にもテレビカメラが入って当日の様子を追っていた。若いころの西城さんは、オーバーアクションとも思える力のこもった振り付けで歌いファンを魅了したが、現在はまだ病気から完治しておらず、この日の舞台は静かなメロディーの曲を中心に構成された。代表曲「YOUNG MAN」も、まだ両手を使った「YMCA」の振りが完全にできないため曲目から外された。
ステージでは立ったまま、マイクを持って熱唱する西城さん。椅子に座ることもあったが、杖には頼らなかった。激しい振り付けがないことを除けば、歌声は随所に若いころの「ヒデキ節」を感じさせる響きがあった。
これまで西城さんは、闘病中にもかかわらず積極的に取材に応じ、自身の姿をさらけ出してきた。エネルギーにあふれた過去の西城さんを知る人たちにしてみれば、足を引きずりながら歩く様子は痛々しく感じるかもしれない。それでも、ありのままの自分を隠さず見せることで、「僕もがんばっていますから、皆さんもがんばってくれますか」と多くの人たちにエールを送れるのではないかと考えたのだと告白した。
コンサートの前日の4月13日、西城さんは57歳の誕生日を迎えた。公式サイト上でそのことを報告しつつ、「マイペース マイペース 一歩ずつ…」と自身にも言い聞かせるようにつづっている。西城さんのファンは、国内はもちろん、米国やカナダ、香港をはじめ海外にも広がっているのが特徴だ。サイトのコメント欄には日本語や英語で、歌手活動の再開を喜ぶ声に加えて、「無理をしないでください」といたわる内容も見られた。