中国の中央銀行にあたる中国人民銀行が、人民元の対ドル相場の変動幅を2012年4月16日から拡大した。これまでは1日あたり上下それぞれ0.5%までに制限していたが、16日から1%に広げた。
変動幅の拡大は2007年5月以来。最近の人民元相場は上昇だけでなく、下落方向にも動いている。変動幅を拡大し、人民元相場の柔軟性を高めた。
人民元は10年6月に中国人民銀行が「相場の弾力化」を表明して以降、緩やかな元高が続くとの思惑が広がり、短期的な投機資金が流入した。中国は人民元の大幅な上昇を抑えるため、ドル買い・元売りの為替介入を繰り返してきた。
変動幅が狭いと投機筋には元相場が一時的に下落しても小幅にとどまるという安心感が生じて人民元を購入しやすい。変動幅を大きくすれば元相場の下落リスクも大きくなり、投機筋が人民元を一方的に買い続けるのは難しくなる。
一方、財務省は同日午前、中国人民銀行が人民元の変動幅を拡大したことについて、「ポジティブな方向だ。歓迎する」と評価した。