復刻してほしいバイクのトップは「スズキGSX1100Sカタナ」――。オートバイの市場動向などを調査する「バイク王 バイクライフ研究所」が2012年3月、バイク免許を保有する全国の男女600人を対象に調査したところ、往年の名車スズキ・カタナがライダーたちに今なお根強い人気を有していることがわかった。
ベストテンの大半はビッグバイク
ライダーたちが復刻してほしいと願うバイクは、2位=ホンダNSR250R▽3位=カワサキZ1/Z2▽4位=カワサキ500SS、ホンダCBR400RR▽6位=ヤマハRZ250/350▽7位=ホンダクラブマン▽8位=カワサキゼファー1100、カワサキGPZ900R▽10位=カワサキゼファー400/400X。
1980年代の2ストロークのバイクブームを牽引したホンダNSR250RとヤマハRZ250/350がそろってランクイン。単気筒250ccエンジンのホンダクラブマンとホンダ、ヤマハの2ストモデルを除けば、ビッグバイクがベスト10の多くを占めた。
同研究所は「第10位までのランキングの中にカワサキ製のバイクが5台も選ばれている。第1位は逃してしまったが、復刻してほしいバイクを多く抱えるメーカーとしては、カワサキが第1位と言える」とコメントしている。ベスト10のうち、ホンダは3台、スズキとヤマハは1台ずつだった。
スズキで唯一のベスト10入りとなったものの、堂々の第1位に輝いたスズキGSX1100Sカタナは、1980年のドイツ・ケルンショーにスズキが試作車を出展。ドイツ人の工業デザイナー、ハンス・ムート氏の「日本刀をイメージした前衛的なデザイン」(スズキ)が世界で人気を呼び、1981年に輸出仕様車として販売を開始。日本では82年、排気量750ccの「GSX750S」として発売した。
2輪でも「復活モデル」は登場するのか
スズキ・カタナは全盛の80年代には400ccや250ccのモデルも存在し、鋭いスタイルの機能美がスズキスポーツバイクの基本性能の高さと相まって人気を博した。ロングセラーモデルとなったカタナは2000年3月に「GSX1100Sカタナ」の最終生産モデルが1100台限定で発売され、約20年間の歴史に幕を下ろした。
スズキは「1980年発表の試作車から基本デザインを変えず、機能面の改良を重ねながら生産を継続した。他に類を見ない斬新なデザインで根強いファンに支えられたロングセラーモデルだった」と振り返っている。
4輪車の世界では、80年代に圧倒的な人気を起こった名車「トヨタカローラレビン/スプリンタートレノ」(AE86)の現代版が、トヨタとスバルのコラボレーションで復活。「トヨタ86」と「スバルBRZ」の姉妹車は、数カ月分の受注を抱えるなど、若者からシニアまで幅広いユーザーに支持され、予想を上回る人気ぶりを示している。「スポーツカー冬の時代」と言われる現代でも、アイデアと商品開発しだいでは、スポーツカーの需要を掘り起こせることが証明された。
2輪車の世界では1978年にデビューし、改良を受けながら現在も生産が続く人気のロングセラー「ヤマハSR400」のような個性的なモデルが存在する。スズキ・カタナを始めとする往年のスポーツバイクの復活を望むライダーの声を、国内メーカーはどう受け止めているだろうか。