北朝鮮の「実用衛星」と称するロケットの打ち上げは、あっけなく失敗に終わり、国営メディアも打ち上げ失敗を認めるという異例の事態になった。
ロケットは20個ほどの破片になって海上に落下したとみられる。北朝鮮の技術力を読み解くための有力な材料なだけに、今後、各国による「残がい探し合戦」が加速しそうだ。
高度151キロで分解
各国の発表によると、ロケットは北朝鮮の東倉里(トンチャンリ)から2012年4月13日午前7時39分頃打ち上げられたが、1~2分程度飛行してから落下した。
韓国国防省の発表によると ロケットはマッハ4.4(時速5400キロ)で飛行していたが、7時41分に高度151キロで分解した。海軍のイージス艦「世宗大王」が、ロケットの打ち上げから分解までを探知したという。
聯合ニュースによると、1段目のブースター(噴射装置)が爆発して17個に空中分解。続いて2、3段目も3つに空中分解した。残がいは、韓国中部の群山(クンサン)の西方100~150キロの黄海上に落下したとみられている。
国営の朝鮮中央通信と朝鮮中央テレビは正午過ぎ、
「地球観測衛星は、軌道に入ることができなかった。科学者、技術者、専門家が失敗の原因を調べている」
と失敗を認める異例の声明を伝えた。北朝鮮は1998年と09年にもロケットの打ち上げを行っており「軌道進入成功」だと強弁したのとは対照的だ。