工業用ゴム大手「シバタ」(東京都中央区)の経理部係長男性(33)が会社の金を使い込んで、キャバクラ嬢に5億円近くを貢いでいたことが分かった。かつて外国人女性に同様に貢いでいたケースがあっただけに、金の行方が関心を集めている。
テレビカメラが捉えた経理部係長は、黒縁のメガネをかけ、ややふっくらした顔をしており、ごく普通の中年男性のようだった。
「病気の治療費などに使う」は名目?
ところが、2005年5月ごろから使い込んだとされる金額は凄まじい。
報道によると、係長は会社のパソコンからネットバンキングを使って、自分名義の口座に会社の預金を振り込む手口を、192回も繰り返し、計5億2000万円ほどをだまし取っていた疑いがある。係長は12年4月11日、電子計算機使用詐欺の疑いで警視庁中央署に逮捕されている。
そのうち、4億9000万円ほどを主に東京・葛飾区のキャバクラに勤めていた1人のキャバ嬢に注ぎ込んでいたというのだ。係長は、1回400~500万円をこのキャバ嬢の求めに応じて送金していたそうだ。
なぜ毎回、こんな多額の金を貢いでいたのか。
報道では、キャバ嬢は、重病を患っていると係長に明かし、治療費や手術費に多額の金が必要だと訴えていたという。しかし、どう見ても5億円近くはかからない可能性があり、ネット上では、本当は何か別のことに使っていたのでは、との指摘が出ている。
関心は強く、Q&Aサイトでは、「キャバ嬢 5億円何に使ったと思いますか?」といった質問が出ていた。ホストに貢いだ、株式や不動産などに投資した、スナックなどの起業に使った、といった憶測が出ており、中には、闇の組織に流れていたのではとのうがった見方まであった。
会社側「キャバクラ通い知らなかった」
キャバ嬢の金の使い道などについて、警視庁の広報課では、取材に対し、本格的な捜査はこれからだと説明した。
シバタ側は、前岨博弁護士が取材に答え、係長がなぜ多額の金をキャバ嬢に貢いでいたかについて、「捜査の進展で明らかになると思います」とだけ話した。係長は、キャバ嬢との付き合いについて、上司や同僚には何も話していなかったといい、会社でも金遣いの荒さなどに気づかなかったという。
報道によると、係長は、残りの約3000万円を株式投資や自宅修理、車の購入などに充てていた。
使い込みは、2010年8月に税務署の調査が入って初めて発覚した。係長は、10月に諭旨解雇となり、11年5月にシバタ側の告訴が警視庁に受理されている。退職金が出たかについては、前岨弁護士は「コメントを控えます」としている。ただ、本人の預金口座などから、可能な範囲でだまし取られた金を回収したとしている。
報道では、係長は、会社の預金口座を1人で管理しており、入出金記録を破棄し、出金額を除いた文書を作って上司に報告していたとされている。なぜ複数で管理しなかったのかについて、前岨弁護士は「そう言われましても…。本人がうまくやりくりしていたということだと思います」と説明した。係長の上司を処分したかについては、「社内的に適切に対処しました」と言っている。