4大臣は「地元」に永住する覚悟を
この安全基準は、馬淵澄夫・元国交相も「無責任きわまりない」と批判しているしろものだ。ちなみに、この安全基準は、福島原発では地震そのものによる被害が正確には確認できていないにも関わらず、津波による被害だけが想定されて作られているのはおかしい。さらに、これから基準をみたせばいいという項目があるのも、素人にはわかりにくい。
いずれにしても、万が一で困るのは地元なのだから、決定手続きとしては地元を関与させないとダメだ。いっそのこと、これで地方が反乱を起こし、地方分権を進めたらいい。4大臣は政治責任をとるというが、そういうなら大飯原発がある福井県や隣接の滋賀県などに永住するくらいでないと覚悟が見えてこない。福島原発事故でも誰も責任をとっていないと言われたら、「政治責任」がいかに軽い言葉であるかわかる。
<メモ:再稼働8条件>
(1)国民が信頼できる規制機関として3条委員会の規制庁を設立すること
(2)新体制のもとで安全基準を根本から作り直すこと
(3)新体制のもとで新たな安全基準に基づいた完全なストレステストを実施すること
(4)事故発生を前提とした防災計画と危機管理体制を構築すること
(5)原発から100キロ程度の広域の自治体同意を得て安全協定を締結すること
(6)使用済み核燃料の最終処理体制を確立し、その実現が見通せること
(7)電力需給について徹底的に検証すること
(8)事故収束と損害賠償など原発事故で生じる倒産リスクを最小化すること
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2005年から総務大臣補佐官、06年からは内閣参事官(総理補佐官補)も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「財投改革の経済学」(東洋経済新報社)、「さらば財務省!」(講談社)など。