大飯原発(福井県)の再稼働をめぐり、藤村修官房長官と橋下徹大阪市長が、「皮肉の言い合い」を展開している。
藤村長官は会見で、橋下市長の言動を「支離滅裂なところもある」と皮肉った。一方、橋下市長はツイッターで、政権内部の発言の食い違いを指摘し、さも「支離滅裂なのはどちらだ」と言わんばかりの皮肉な調子で反論した。
「国は8条件を無視したら良い」
「ちょっと支離滅裂なところもあるように思う」
藤村長官は2012年4月10日の会見で、大飯原発再稼働に関する橋下市長発言についてこう評した。
大阪府と大阪市の合同会議が示した「再稼働の8条件」について、橋下市長が「国は無視したらよい」と発言したことを受けたものだ。8条件には、「原発から100キロ程度の府県(の知事)の同意を得る」ことなどが盛り込まれている。
条件を示しておきながら「無視したらよい」とは、「支離滅裂」で、「きちんと検討しているなら、『ちゃんと聞いてくれ』と言う方が正論ではないか」(藤村長官)というわけだ。
これに対し、橋下市長は11日未明のツイッターで反論を始めた。
「藤村官房長官様 いつも大阪市政にご協力下さりありがとうございます。今回、松井知事とともに大飯再稼働について8条件をまとめました。記者に『国が8条件を聞いてくれない場合は?』と問われたので、僕は『国は8条件を無視したら良い』と答えました」
「無視したら」発言には、「国が条件を聞かない場合」という前提があるというわけだ。
「8条件、聞いて下さるのでしょうか?」
さらに、「支離滅裂」発言に反撃した。
「そのことについて官房長官は支離滅裂とコメントされました。枝野大臣は京都と滋賀の理解を得なければならない。さらには国民全般の理解を得なければならないと発言。その後、理解と同意は異なると発言。官房長官は地元の同意は法的に義務付けられているものではないと発言」
と枝野幸男・経済産業相が4月2日の参院予算委で発言した内容と藤村長官の5日会見発言との「矛盾」を指摘した。さらに、
「僕の国語能力では、理解と同意の区別は分かりません。大阪市が地元の範囲に入るのかも分かりません。国がどこまでを地元とし、そして地元自治体との関係で何を要件とされているのかも分かりません。大阪には国の方針が何も伝わってきません。むしろ国の方針が錯綜していると感じます」
「大阪市のまとめた8条件を前提にして下さるなら、僕の『国は無視すれば良い』という発言は間違いです。8条件、聞いて下さるのでしょうか?これまでの政府のメッセージでは、大阪市は地元ではなく、同意を求められる対象でもないと理解していました」
と皮肉っぽく書いた。文字にはしていないが、「藤村長官は、大阪市など『地元』の同意を得る気はなかったはずでは?」とのイヤミがにじんでくる。
橋下市長は、藤村長官関連では上記4ツイートのみで切り上げ、別の話題に転じた。
藤村長官は4月11日の会見で、橋下市長ツイッターに関する質問に対し、
「正式な提言が(大阪府と大阪市から)あればよく拝見させて頂き、貴重な提言という受け止めをさせて頂く」
と答えた。