交響楽団による「賞金1億円争奪コンクール」 橋下市長アイデアに賛否両論

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   大阪などのクラシック交響楽団に1億円の賞金を競わせる――こんなコンクールを大阪で開けば面白いのではないか、と橋下徹大阪市長がアイデアを披露した。

   大阪市では、大阪フィルハーモニー交響楽団(大フィル)への年1億1000万円の補助金の削減が議論されている。橋下市長は従来、「文化についても、努力に応じて助成をしていく」姿勢を示しており、今回の「1億円争奪コンクール」案も、楽団に「努力」を求める流れで出てきた発想のようだ。

楽団への「1億円補助金」削減を議論中

1億円コンクールは実現するか。
1億円コンクールは実現するか。

   大阪府と大阪市の統合本部会議で2012年4月10日、大フィルへの補助金約1億円の削減問題に関連して、橋下市長は、ひとつの例として、1億円の賞金を競わせるコンクールを大阪で開けば面白いのではないか、と発言した。

   大阪府の交響楽団だけでなく、全国から参加を募る方法も考えているようだ。会議事務局に橋下市長の発言を確認したところ、優勝団体だけに1億円を払うのか、入賞上位に分割する考えなのかは、はっきりしなかった。

   いずれにせよ、決まった団体に毎年1億円の補助金を出すのではなく、1億円を競わせることで活性化が期待できるのでは、というわけだ。

   大阪市の改革プロジェクト・チームは4月5日、100を超える事業を見直し支出削減を図る試案を発表し、大フィルへの約1億円の補助金については「25%削減」を提示した。全額削減も視野に検討される一方、「文化振興を阻害する」と反発も出ていた。

   大フィルは、指揮者の故朝比奈隆氏らが1947年に前身団体を設立した老舗楽団だ。1億円の補助金は、年間運営費の約1割にあたるという。

   橋下市長は府知事時代、府から大フィルへの約6000万円の補助金をカットした。また、府が年4億円の補助金を出していた大阪センチュリー交響楽団への補助も全廃し、楽団は「府から独立」する形で2011年4月から日本センチュリー交響楽団に生まれ変わった。府内には4交響楽団があるが、億を超えるような多額の補助金が問題になったのは、この2楽団だ。

「努力するところにお金を入れる」

   橋下市長は2月20日の会見で、補助金や助成金のあり方について、「文化についても、努力に応じて助成をしていく」との考えを示した。

   自身のツイッターでも、「僕はクラシック音楽に税金を投入することを全て否定しているわけではありません。努力するところにお金を入れるという仕組みが必要と考えています」(2月22日)

と主張していた。

   在阪の交響楽団の関係者に、橋下市長の「1億円争奪コンクール」案について感想を聞いてみた。

「高校生が音楽コンクールで競うのはよいが、プロの演奏を好き嫌いではなく、客観的に順位付けるのは難しいはずだ。違和感がありますね」

という反発から、

「面白いと思いますよ」

と賛成する声もあった。ただ、「面白い」と話した男性も、「楽団がもっと自助努力する必要があると思う一方、あまりに競争、競争ばかりでは、音楽や文化の振興にはマイナスになる心配もある」と指摘した。

   「(賛否の)どちらとも言えないですね」と話す担当者もいた。

   大阪府市統合本部は、芸術文化活動への支援のあり方などを検討するため、芸術専門家らでつくる組織「アーツ・カウンシル」を2012年中に立ち上げる方向で準備を進めている。

   大阪市の都市魅力戦略グループの担当者は、橋下市長の「1億円争奪コンクール」案について、「ひとつのアイデアとして受け止め、アーツ・カウンシル発足後、そこで議論されることになるでしょう」と説明した。実現するかどうかは、今のところ不明のようだ。

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