中国メーカーの攻勢に、ドイツ大手も破たん
東日本大震災以降、海外勢の日本への視線は熱く、なかでも中国メーカーの「低価格攻勢」は止まらない。「(11年度は)円高の影響もあった」とはいえ、「国内メーカーより3~4割安く出回っている」(メーカー関係者)という。
国内のある太陽電池メーカーは、「これまで住宅用は(屋根の)施工などの関係もあって(国産を)使ってもらえたが、最近はお客様のほうから全体を安くあげるためにも価格の安い輸入品を使ってほしい、という声がある」と話す。
一方、国産メーカーの競争力は急激に低下している。シャープや京セラ、三菱電機などの国産メーカーは、太陽電池市場がこれまでドイツを中心とした欧州市場が「主戦場」だったこともあり、輸出に熱心だった。
ところが、成長が続いてきた欧州でドイツなどが太陽光発電向けの導入支援策を相次いで縮小したため、「市場が目に見えてしぼんできた」(メーカー関係者)という。シャープの太陽電池事業はそれもあって、2011年上期(4~9月期)は営業赤字だった。
さらにそのドイツで、太陽電池大手のQセルズが法的整理を申請すると、2012年4月2日(現地時間)に発表した。08年にはシャープを抜いて世界シェアで首位となった同社だが、その後は低価格攻勢をかける中国メーカーにシェアを奪われ、10年には6位まで後退。価格競争に敗れ、赤字体質に陥っていた。
中国メーカーの本格参入で、気がつけば「お膝元」での価格競争がより熾烈になってきた国産メーカーが、「明日はわが身」にならないことを祈りたい。