「アルバイトぐらいしかない」
もしパチンコ店などで人が増えているとすると、避難している人たちが働いていないケースが多いことが考えられる。その背景には、やはり東電から支給される多額の賠償金などがあると、前出の保守系市議は言う。
「ある会社社長が避難民の方に『雇ってもいいですよ』と言うと、『就職すると賠償金が出なくなる』と断られたと聞きます。また、マンションに住む避難民の夫婦は、夫の代わりに妻が働いており、そのため賠償金や給料で月に50万円の生活費があり、少なくとも困った感じではないです。働いていない避難民の方は、時間が余っているのか、昼間から近所をジョギングなどしていますね」
人が増えると、様々な問題も出てくるようだ。
河北新報によると、渡辺敬夫市長は、「避難者は医療費が無料なので、市内の医療機関は大変な患者数」だとして、市民の受診に支障が出るのを心配していた。この点について、市議は「病院に行くと今までは顔見知りばかりでしたが、知らない方々がたくさん来ておられますね」と認めた。
「入居者が増えて、市内の賃貸物件は、ほとんどなくなっています。『住むところがなくて結婚できない』と泣いていたカップルもいました。市がゴミの収集や焼却もしていますので、『オレらの税金が使われている』と漏らす人もいましたね」
いわき市には、避難してきた人たちの「仮の町」構想も出ているが、渡辺市長は、復興相との会談で、いつまで住むのかのロードマップがないと受け入れられないと訴えた。前出の市議も「市民にとってどんな負担があるのかがはっきりせず、いずれ働き先を巡って取り合いになる心配もあるので、国が雇用の拡大などの施策を行うべきだ」と注文をつけた。
渡辺市長らの指摘について、大熊町の災害対策本部では、こう説明する。
「4、50歳以上になると、ほとんど仕事がないんですよ。アルバイトぐらいしかないのに、働けば、失業保険も切られてしまいます。これでは、生活費が出ない人が多いんです。パチンコの話は確かに聞きますが、ほかに何もできないこともあるのでは。やはり、国には、新たな就業の場を作るなど被災者対策をしっかりやってほしいですね」