北朝鮮「衛星」の管制室は「ダミー」か パソコンモニターは台湾「acer」製

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   北朝鮮の「実用衛星」の打ち上げが目前にせまるなか、国外からは衛星の性能に疑問符を付ける声が続出している。現時点では主に指摘されているのは、「カメラが小さすぎて、まともに地球観測などできないのではないか」といったことだ。ここにきてクローズアップされているのが、管制室の貧弱さだ。「本当は別の場所にあるのではないか」といった声も出ている。

日本からは共同・NHKが取材

朝鮮中央通信が配信した管制室の様子。モニター、マウス、キーボードしか確認できない
朝鮮中央通信が配信した管制室の様子。モニター、マウス、キーボードしか確認できない

   共同通信やAP通信によると、朝鮮宇宙空間技術委員会は2012年4月10日に海外メディア向けに記者会見を開き、同日中に打ち上げの準備が完了する見通しを明らかにした。4月11日には、朝鮮労働党が党代表者会を開いて金正恩氏が党総書記に就任することが有力視されていることから、打ち上げを重要な政治日程に間に合わせる狙いがあるとみられている。

   4月8日には、北朝鮮北西部の東倉里(トンチャンリ)にある打ち上げ施設と、衛星と称する「光明星3号」も海外メディアに公開している。

   朝鮮中央通信によると、この打ち上げの取材のために北朝鮮入りしたのは米国(AP通信、CNN、NBC)、ロシア、日本、フランス、英国、ドイツ、スウェーデン、スイス、ベトナム、中国(香港)、インドネシア、シンガポール、南アフリカ、ブラジルのメディア。日本からはNHKと共同通信が現地入りしている。それ以外にも、平壌に支局を置いている中国の中央テレビ(CCTV)が取材している。

あまりにみすぼらしい「管制室」

   各メディアがそろって疑問視しているのが衛星そのものの性能だが、ネット上で指摘されているのが、管制室の「みずぼらしさ」だ。管制室は中央に大きな画面があり、その横に4つほど小さな画面がある。いずれも地図や打ち上げ台を映している。

   部屋の中央には、およそ20個のボタンがついた操作卓があり、これを使って打ち上げなどの操作を行うとアピールしたいようだ。それ以外に、画面に向かい合う形で管制官の作業テーブルが4つ備えつけてあるのだが、いずれも木製だ。テーブル1つあたりモニターが3つずつ備え付けられているものの、テーブルの上にあるのはマウスとキーボード、電話だけだ。ノートやペンは見あたらない。

   画面には、4分割された監視カメラの映像や、大画面と同じ地図が映し出しされている。画面右上には、丸みを帯びた「×」などのアイコンが確認できるものもあり、システムにウィンドウズXPを使用している可能性もある。モニターには「acer」のロゴが確認でき、台湾製のPCが利用されているとみられる。

   テーブル1つあたり、管制官が2人配置されている。ひとりはマウスを手に、別の部屋が映し出されたモニターを見つめているが、もう一人は手を組んだまま、打ち上げ場所のモニターを眺めている。明らかに手持ちぶさただ。

   1998年と09年には、北東部の舞水端里(ムスダンリ)の施設が使用されており、同施設の管制室の映像も公開されたことがある。今回公開された東倉里の管制室は、それよりも規模が小さいため、「実際には、ここでは管制業務は行われていない」との見方が大勢だ。

   英BBCの記者は、管制室で責任者に対して

「北朝鮮は、国民を満足に食べさせられないでいる。こんな多額の費用をこの計画にかけることは、正しいことなのか」

と質問したが、責任者は

「自分たちの技術を開発しなければ、奴隷になってしまう」

と打ち上げ計画を正当性を強調していた。

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