浪人してもせいぜい「パートタイマー」。日本に帰ってくる時期?
「昨年の成績が悪すぎた」と松井は現状を語っている。昨シーズンは打率2割5分そこそこ、本塁打は12。守備についた試合は30試合足らず。しかも年齢は6月で38歳。これでは食指が動かないだろう。やはりヤンキース時代に経験した手首とヒザの手術が、「守れない」という大きなハンデになっていることは疑問の余地がない。
それでも松井は「一人で練習をして緊張感を持続するのは難しいが、不安はない」と言う。自らを励ましているのがよく分かる。基本姿勢は「今はただ待つだけ」とし、どこのチームからのオファーに応じられるようにマイナー契約はしない方針だ。
今後、大リーグ復帰で考えられるのは、ア・リーグ球団で指名打者の故障者が出たとき、また優勝争いのチームが左の代打を必要としたとき、などのケース。つまりパートタイマーとしての雇用でしかない。
もう日本球界への復帰を考えてもいいのではないか。大リーガーのプライドもあるだろうけど、選手の最晩年をずっと応援してくれたファンの元に帰ることは、彼の誇りを失うものではない。大リーガーとして精一杯プレーしたことはだれもが知っているのだから。
松井は初めての浪人生活である。ゴジラがイチロー(一浪)に変身――では悲しいシャレでしかない。(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)