都心の分譲マンションなどで「空き駐車場」の有効利用が目立ち始めた。駐車場の時間貸しやカーシェアリングなどを手がける日本駐車場開発は、マンション管理組合に積極的な提案セールスに乗り出している。
マンションの空き駐車場はこれまで、一部のスペースでも外部者に貸すと収益事業とみなされ、駐車場全体に課税されるケースがあったが、これが変更されたためだ。
2年間で「3000台」が目標
日本駐車場開発は2012年4月から、横浜市にある大規模分譲マンションで空いた駐車場スペースを借り、一般向けの月極め駐車場として運営するサービスを開始する。
同社ではこれを手始めに、マンションの空き駐車場を居住者以外に「開放」して、幅広く利用してもらうサービスを東京、名古屋、大阪を中心に全国に広げていく。同社が駐車場の利用者を探してきて管理手数料を、またマンション管理組合が駐車場の賃料収入を得る仕組み。
これまで分譲マンションの空き駐車場は管理組合がマンション居住者に貸す場合は非課税だったが、一部でも外部者に貸すと収益事業とみなされて駐車場全体に課税されていた。
それを国税庁は今年2月、住民が優先して駐車場を使えるのであれば、「外部貸し部分のみに課税する」との見解を公表。課税対象が明確になったことで、マンション管理組合が空き駐車場を有効活用できるようになった。
現在、日本駐車場開発が運営する分譲マンションの駐車場は約100台分。2014年春までに3000台分に増やし、この事業での売上高を10億円に引き上げる。
駐車場を外部貸しすると、マンションに居住者以外の第三者が立ち入るため、防犯や住民と外部利用者のトラブル防止などの安全対策が必要になる。このため、「外部貸しは、基本的には月極めとする」考えで、「物件の多くが都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)なので、法人利用が見込める」とみている。
同社はオフィスビルの駐車場管理や時間貸し駐車場の運営も手がけており、それらのノウハウを生かすという。
「空き駐車場」が目立つところが増える
都心の分譲マンションの場合、人気の住宅地では「駐車場不足」に悩んでいる例がないわけではないが、若者のクルマ離れや居住者の高齢化などを背景に、交通の利便性のよいマンションなどを中心に「空き駐車場」が目立つところが増えてきた。
なかには修繕費などの原資を確保できなくなるマンション管理組合があったり、また2012年4月からの電気料金の上昇などで管理費の遣り繰りに頭を痛めていたりする事情もある。
空き駐車場が活用できれば、収入が見込める。
日本駐車場開発は、「分譲マンションの管理組合からは以前から、空き駐車場の利用で相談を受けていた」と明かす。「マンションの立地条件や、駐車場設備によっても大きく変わってきますが、東名阪の中心部に最低で約1万2000台分の外部貸し需要がある」と、試算している。