2000円札「製造ゼロ」9年目 「見かけない」「沖縄にはあるぞ」

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   最近、2000円札を見かけない――そんな感想を持つ人が少なくない。それもそのはず、製造枚数ゼロは9年目に突入する。需要は伸びず、流通枚数も減っている。

   一方、「2000円札が珍しいという話を聞いて、びっくりしたことがある」と県庁職員が話す地域もある。沖縄県だ。それほど身近に流通しているわけだ。ネット上でも「沖縄で2000円札目撃」情報が寄せられている。

「二千円札まだあったんや!?」

2000円札の見本を紹介する国立印刷局のサイト
2000円札の見本を紹介する国立印刷局のサイト

   2012年度も2000円札は製造されないことが決まった。財務省が12年4月3日、発表した。前回、製造したのは2003年度のことだ。9年連続で製造「ゼロ」となる。

   2000円札は、2000年夏に開催された九州・沖縄サミットに合わせ、発行された。沖縄・首里城の守礼門がデザインされている。サミット開催場所が決まった1999年、当時首相だった小渕恵三氏(翌年春、死去)の指示で発行が決定した。

   久しぶりの新紙幣ということで注目され、流通枚数は、2004年夏には5億枚強まで脹らんだが、その後、急減した。日本銀行のデータによると、07年1月には約1億6000万枚にまで減り、12年2月では約1億枚になっている。日銀によると、お札の発行額・枚数ともに全体としては増えており、2000円札の減少は、ほかのお札に比べ、特別な傾向だという。

   理由としては、米国の20ドル紙幣など海外では例があるものの、「2」がつくお札は日本では馴染みが薄く、「使い勝手が悪い」というイメージが先行してしまったことが影響したようだ。ATMや自動販売機での対応も、全国的には進まなかった。国内ATM台数の3分の1にあたる約5万9000台を監視している日本ATM(東京都港区)によると、2000円札の入金はできるが、出金(引き出し)はできないATMがほとんどだそうだ。

   こうした「使いづらさ」が影響し、流通量が減ったようだ。

   「2012年度も2000円札製造ゼロ」のニュースが流れると、ネットのツイッターでは、

「二千円札まだあったんや!?」「見ないと思っていたら、製造もされていないのか」

といった「しばらく見ていない」という反応が多く流れた。

   一部には、ATMでお金をおろした際に2000円札が出てきたという報告や、買い物の際におつりで2000円札を出されて、「一瞬、異国のお札かと」思ったというつぶやきもあった。

沖縄の金融機関ATM、9割は利用可

   一方、意外と多いのが、沖縄県での目撃情報だ。

「沖縄だとばっちり流通しているよ」「沖縄でしか見たことない」

   日本ATMでも、「沖縄では、出金も2000円札に対応しているATMが多いようです」と指摘した。

「2000円札が珍しいという話を聞いて、こちらがびっくりしたことがあります」

   沖縄県観光振興課の担当者はこう話す。県のサイトには、「二千円札の流通は沖縄から!」と題したページがある。官民で協力し、2000円札の利用拡大の活動を続けている。2000円札に沖縄の守礼門が描かれていることから、全国の人に「沖縄に触れてもらう機会を増やしたい」という思いがある。

   沖縄県の金融機関では、約9割のATMで2000円札の引き出しができるようになっている。2011年3月までは、ボランティアを中心に「二千円札流通促進委員会」が活動し、約14万枚の「二千円札大使認定証」を希望者に配るなどした。

   こうした活動の結果、全国的には2004年をピークに減り続ける2000円札の流通枚数は、沖縄県では概ね右肩上がりで増えており、2011年春には、04年より約1.5倍になった。

   県でも取り組みを続けており、2012年1月には、東京都内の沖縄観光PR会場で、「2000円札両替ブース」を設け、用意した200万円分が1日ですべて、2000円札に両替されたという。

   また、県庁の観光担当部局では、給与のうち1万円分は2000円札で直接支給されるそうだ。

   観光振興課の担当者は、「沖縄県だけでなく全国的に(2000円札の利用が)広がっていくことが目標」として、9年連続製造ゼロについて「悲しいニュースですね」と話した。そして、

「県外の方も、2000円札を受け取った場合、すぐに銀行で入金したりせず、お店などで使って頂きたいです」

と協力を呼びかけている。

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