「職場のパワハラ」、この10年で6倍 厚労省「提言」で防止対策は進むのか?

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グレーゾーンの判断が難しい

   ちなみに、「セクシュアルハラスメント(性的な嫌がらせ=セクハラ)」の場合は、男女雇用機会均等法で「性的な言動で就業の環境を害すること」などと定義されている。各企業などはこの定義に基づいてセクハラ防止の取り組みを義務づけられていることで、具体的対策が浸透したとされる。今回の定義付けで「パワハラ対策もセクハラに一歩近づいた」(企業関係者)ことになる。

   ただ、先の熊本市のように、絵に描いたような明白なパワハラはごく一部で、「多くはグレーゾーン」(企業関係者)。業務上の問題で部下を叱責することが、指導や激励に当たるのか、嫌がらせやいじめに当たるのか、判断は難しいのが実態だ。

   今回の定義付けでパワハラ対策は進むのか。円卓会議でも、例えば6類型のうち、「過大な要求」や「過小な要求」などについては、それぞれの業界や企業文化でことなるため、線引きが難しいと認め、各職場で認識をそろえる取り組みをするよう求めているのが精いっぱい。また、セクハラは「被害者が不快に思えばセクハラ」ととらえられるが、「パワハラが同じようにとらえられれば、逆に上司が萎縮して、職場が混乱する恐れもある」(企業関係者)との指摘も根強い。

   それでも避けて通るわけにはいかないパワハラ対策。企業の現実の対応としては、社内規定や対応マニュアルを策定したり、新人、中堅、幹部など階層毎に研修を実施して徹底するといったことが考えられる。

   ある企業の人事・総務担当幹部は「セクハラ対策では弁護士にアドバイスを受け、社内規定を整え、研修の講師を頼む。環境ISO(国際規格)などの取得では専門のコンサルタントにお世話になっている。パワハラでも弁護士や社会保険労務士のセンセイにお世話になるのでしょうね」と話している。

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